mixiユーザー(id:6327611)

2020年09月25日05:10

229 view

学生時代の夢が生活に埋没した? それは夢を追わなかったせいだろ。ローレンス・カスダン監督「再会の時」(1983)。

池島監督が“群像劇が好き”ということから、まず僕が思い出したのがローレンス・カスダン監督の「再会の時」でした。これは1983年の作品で、15年前にミシガン大学の学生だった仲間の一人が自殺し、その葬儀に親しかった同級生たちが集まる話です。自殺する男をケビン・コスナーが演じ、しかし完成版では彼の顔はワンカットたりとも現れません。

ローレンス・カスダンはコスナーを撮影したこの映画のフィルムを、その後一切発表しないまま今日に至りました。さすがにコスナーに悪いと思ったのか、「シルバラード」で主役を演じさせてますが。僕はと言えば、コスナーなんか気にもせず、当時23歳のメグ・ティリーに見とれていました。それは今回も同じ。

だっていきなり柔軟体操する彼女のアップですよ。ええわぁ。これを見るだけで、DVDを引っ張り出した価値がありました。中年にさしかかった連中に、“なんか知らんけど、くっついていたら得するわ”という感じで、しかしガツガツと欲望をむき出しにしないところがいい。そうですよ、おじさんたち(じいさんを含む)は、若い娘がそばにいるだけでうれしがるものです。

このとき三十代半ばだった元学生たちは、現在70歳超です。学園紛争なんて知らないよという連中が世の中を動かしている。学生時代に“世のため人のため”と弁護士になったメグ(メアリー・ケイ・プレイス)は、ろくでもない連中の弁護ばかり引き受けていて、子供を作る暇さえなかった。それを知ったサラ(グレン・クロース)は、夫サム(ケビン・クライン)を“種馬”に提供する。

そんな元学生たちの後日譚がだらだらと展開するだけなのですが、僕には“自分たちの時代”だったという確信があるから、すべてが他人事に思えないフシがあるわけです。もちろん同級生でテレビスターになった人間はいません。参議院議員になったやつはいるけど、さらに十年後。同級生同士で結婚した男女もいないか。学部をまたいでならいるけど、卒業後会ったことがないな。

というような下世話な回想よりも、葬式で追悼のためにとカレン(ジョベス・ウィリアムスが)弾く曲が、ローリング・ストーンズの“無情の世界”なので、そのほかスペンサー・デイビス・グループの“ギミー・サム・ラヴィン”、アレサ・フランクリンの“ナチュラル・ウーマン”、さらにビーチ・ボーイズ、テンプテーションズ、スリー・ドッグ・ナイトなど、学生時代のナツメロが次々使われるあたりが最高なのでした。とりわけザ・バンドの“ザ・ウェイト”が流れると、「イージー・ライダー」のサントラLPには収録されなかったというトリビアが思い出されて頬がゆるみます。

メアリー・ケイ・プレイスがこの映画について語った言葉が、imdbのトリビアにありました。“学生のときは何でもできると思うし、何にでもなれる、何でも成し遂げられると思うの。それが突然ある時点で、自分の未来が予定されていると気づく。ひとたびそれに気づくと、すべてが止まる。そして数々の疑問が持ちあがるのよ”。

さて、15年前に学生だった方々、今どう思ってますか? 僕にとって2005年は、さほど悪い年ではなかったな。阪神タイガースが岡田監督のもとで優勝しているし。でも個人的には、人生のピークは2003年だったかも。いや1985年もピークだな(結局それか!)。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年09月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930