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2020年09月19日03:09

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小品の西部劇と思ったら3Dで撮影したということは、大作? ダグラス・サーク監督「アパッチの怒り」(1954)。

ロック・ハドソンがアパッチの族長に扮する西部劇です。imdbには、3Dで撮影されたが2Dで公開したと書いてありますが、ポスターの写真を検索したらデカデカと3D表記があります。要するに、3Dに変換する映写レンズや、観客に配る偏光メガネなど余計な費用がかかるから、それを嫌がる映画館が多かったということでしょう。

画面サイズが1:2.0で、これは初期のスーパースコープと同じ。最近では、ウディ・アレン作品が同じ比率の画面を好んで使っています。そして、今回NHKで放送した素材が実にきれいな画質だったから驚きました。こんな79分の西部劇を、きちんとハイビジョン素材に変換するという、そんな関係者の努力に感謝したい。内容が良ければ、もっといいけど。

物語は、アパッチ族の族長コチーズが亡くなり、長男のターザ(ロック・ハドソン)を族長に据えるのですが、次男のナイチ(レックス・リーズン)が勝手に白人との闘いを始めるというもの。コチーズをジェフ・チャンドラーが演じているそうですが、ノンクレジットだったので気づきませんでした。巻き戻して(この表現でいいのか?)確かめたら、そのとおりらしい。

チャンドラーはデルマー・デイビス監督の「折れた矢」(1950)で同じコチーズ役を演じています。さらにジョージ・シャーマン監督の「アパッチ峠の闘い」(1952、日本未公開)でもコチーズ役を演じているらしい。コチーズ族長は白人たちとの融和政策を取ったのですが、ジェロニモらがそれに従わず闘いを続けたそうです。

原題が「コチーズの息子、ターザ」でした。そしたらテレビシリーズの「折れた矢」の第2シーズンに、同じ題名の挿話がありました。テレビは、この映画の公開後の制作なので、便乗したのかな。とにかく、白人に協力した先住民を白人の側から描きます。騎兵隊の将軍が約束を破ったから、騎兵隊の制服を着てその一員になっていた彼らは服を脱ぎ捨てて武器を取るのに、戦闘に割って入って和平を行うって、どうよ?

とまあ、我田引水のアメリカン・ウェイは置いておくと、それなりに目を楽しませてくれる作品でした。それは、バーバラ・ラッシュの水浴シーンを意味するのではなく(無視もしませんけど)、ロック・ハドソンがひょいと馬に飛び乗る(鐙=あぶみに足を掛けない、っていうか先住民の馬に鐙はないか)、その仕草だけで十分だと感じたのです。それと画質の良さですね。夜景が暗すぎる気がするけど(アメリカン・ナイトが嫌いな人がリマスターしたのでしょう)、昼間のシーンでは西部の風景が堪能できます。

監督のダグラス・サークにとっては念願の西部劇だったそうで、自作の中でも格別ひいきにしていたようです。ロック・ハドソンにとっては、俳優としての1ステップという感覚だったようですね。“こういうガラクタ(crap)みたいなターザ役で経験を積む意味はない。「ジャイアンツ」なら別だけど”と述べています。ハゲ同ですわ。

とはいえ、西部劇華やかなりしころの貴重な映像証拠として、僕は記憶にとどめたいと思いました。てなこと言いつつ、来週になったら内容を忘れてしまっていると思いますけどね。

なお、画像を検索していたら3D映画についてのページがありました。写真だけを見ていると、カラー映像の3D(偏光メガネ)と、赤と青のメガネによるモノクロ3D、そして2Dの3バージョン作られたみたいです。さらにエンド・クレジットで、“国立公園の撮影協力に感謝”と出ますが、先住民の土地を取り上げておいてよく言うよ、という感じです。
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