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2020年07月28日06:00

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55年前の映画だけど、しっかりした娯楽映画はやはり面白い。マーク・ロブスン監督「脱走特急」(1965)。

フランク・シナトラ主演の戦争映画で、公開当時に「大脱走」と「大列車作戦」を併せたような作品と評判になりました。もちろん、算術的な出来ばえではなく、両方の要素を持ちあわせているというだけですが。高校三年生だった僕が“面白かった”と記憶しているわけです。久しぶりに見直し始めて“まあ、こんなものだったか”と思いました。

物語は、イタリアが敗色濃くなった1943年が背景で、アメリカ陸軍航空隊の大佐ジョセフ・ライアン(フランク・シナトラ)が不時着します。イタリア兵たちが燃え盛る機体を眺めているところへドイツ軍が到着、パイロットを引き渡せと命じますが、イタリア兵たちは“焼け死んだ”と言う。しかしドイツ兵が引き揚げた後のイタリア兵の乗っているトラックには、ライアン大佐がいて酒瓶を手にしている、という滑り出しです。

かくてライアン大佐は、イタリア兵が管理する捕虜収容所に入れられますが、ちょうどイギリス軍の指揮をしていた大佐が病死し、大佐という位があるライアンが捕虜の統帥権を持つことになる。臨時に指揮を取っていたイギリス軍少佐エリック・フィンチャム(トレバー・ハワード)が、捕虜の生活よりも脱走計画を優先させていたため、支給物資や食事は酷いもの。ライアン大佐はバターリア収容所長(アドルフォ・チェリ)と掛け合って待遇改善に努めます。

このあたりがアメリカ版「戦場にかける橋」でした。トレバー・ハワードの英軍少佐が、アレック・ギネスほどの個性はないけれど、ほどほどの職業軍人らしさを見せ、ライアンと対立しながらも脱走を実行します。←米軍の侵攻でイタリア兵たちが逃げてしまい、置き去りにされた何百人かの捕虜たちが今度はドイツ軍の管理下に置かれ、移送されることになるのでした。その移送列車を、まるごと盗んで逃走するというオハナシです。

収容所で通訳として活躍していたオリアニ大尉(セルジオ・ファントーニ、写真2眼帯)が、捕虜たちの仲間となってイタリア人機関士(ヴィトー・スコッティ、写真3)と共に脱走に手を貸すあたりも、娯楽映画として面白くできています。このスコッティさん、よく見かける顔だと思ったらサンフランシスコ生まれなんですね。若くしてイタリアに戻り(って家族が)、苦労したようです。なんか理髪店が似合いそうだと思ったら、imdbにも同じことが書いてありました。

収容所の悶着があって、ドイツ軍監視下に異動し、さらには列車を乗っ取って脱走するという、波乱万丈の物語にしては1時間57分と短い。おまけに見直していて、“こんな程度だったかな”と思う手ごたえです。しかし終盤、列車がアルプスに差しかかり、スイスに逃げれば安全というあたりから、がぜん面白くなります。

個人的には、大好きな空撮があることが決め手ですが、なにより追うドイツ軍と迎え撃つ捕虜軍団の、線路という一本道を介しての戦いがしっかりしている。メッサーシュミットが3機飛んできて行く手を阻むのですが、実機が手に入らなかったのかパチモンのプラモデルでももっとカッコええで、という3機でした。

一緒に見た友人によると“ラジコン機がまじっていた”そうですが、列車だってミニチュアだと分かる出来ばえ。でも、そのミニ感覚が、日本映画の“池が大海原”というミニチュアではなく、遊園地で実際に乗れる程度のミニチュアだから楽しい。

シナトラとしては、トレバー・ハワードの役をリチャード・バートンにと希望したそうですが、フォックスがバートンとテイラーを相手取って「クレオパトラ」の制作延期に関する訴訟を進めていたためアウト。さらにピーター・フィンチも降りたためハワードに回ってきたようです。

ジョン・レイトンが「大脱走」と同じような役どころで出ていましたが、彼が出た「バタシの鬼軍曹」で映画デビューを果たしたミア・ファーローが、撮影を見に来たそうです。シナトラとしては、この時に目を付けていて後に結婚したのかな。それじゃラファエラ・カラどころではなかったのも頷ける(笑)。←ラファエラ・カラはその後歌手として活躍しているから、シナトラとしては“対象外”だったのかも。

とりあえず終盤にしっかりと戦争映画としての見せ場があったので、娯楽映画として及第点でした。高校生時代に“楽しんだ”経験が裏切られなくて何よりです。

なお捕虜収容所のシーンは、フォックスのLAスタジオに作ったオープンセットだそうです。この後「クレオパトラ」の予算超過などで土地を売り払い、センチュリー・シティとしてショッピングモールやホテル、シネコンなどになりました。「ダイ・ハード」のナカトミ・ビルもそのひとつ。なにしろ半世紀以上前ですから、多くの方が生まれる前の話です。
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