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2020年07月11日05:02

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国の象徴とも言える建造物の火災とその再生を描いた2作。ノートルダム大聖堂に関する2つのドキュメンタリー。

2019年4月15日に起こったパリのノートルダム大聖堂の火災は、実際に行ったことのない僕にとっても、とてつもない衝撃でした。パリを舞台にした映画で数多く見かけ、世界遺産にも登録されている13世紀に完成した建物で、大規模な修復中に起こった火災という部分も衝撃でした。火災から1年を迎える2020年4月14日に「ノートルダム炎上 消防士たちの闘い」が、そして7月9日に「ノートルダム 火災からの再生」が放送されました。

「ノートルダム炎上 消防士たちの闘い」は、消火活動にあたった消防士たちの肉声を中心に構成しており、火災発生から鎮火のめどが立つまでの5時間を語ります。その緊迫感があまりにも強烈だったので、僕は録画した番組をDVD-Rに焼くのをためらってしまいました。つまり45分のドキュメンタリー(本来は57分とimdbに記載されています)を、もうひとつセットにして2時間録画用のDVD-Rに収めたいのですが、適当なもう1本が思いつかない。

そしたら7月9日に「ノートルダム 火災からの再生」が放送されたのでした。こちらは惨憺たる現場の映像だけではなく、健在だったころ(なんと火災の4日前の映像があります)の映像、そして奇跡的に助かったステンドグラスや彫像などが紹介されます。おりしもニュースでは、新しい建物のデザインを広く募集するとしていた方針を、かつての建物を復元する方向に変わったと報じられました。

それにしても「消防士たちの闘い」の映像は、インタビューに応じる消防士たちの作業の困難さが手に取るように伝わりました。現場に駆け付けたマクロン大統領を最高責任者に、組織的な消火活動をなしとげた実際が、手に取るように伝わります。カメラの前で決断を迫られる大統領の苦悩もありありと分かる。←国家の首脳というものは、毅然としている必要があるわけです。翻って、我が国は…。

そういう意味で「火災からの再生」は、限りなく遠い“復活”が重くのしかかります。失ったものはあまりにも大きい。火災の少し前に修復されて取り付けられた風見鶏が、がれきの中から見つかったという話は、尖塔での取り付け作業の映像があるだけに痛烈でした。それにしても、ヘッドセット・カメラやドローンによって、フィルム映像では考えられなかった鮮明で間近な映像がふんだんに見られます。これに関してはデジタル映像技術のおかげと言うほかない。

これら映像技術の進化と、映像データの保存の効率化が、ドキュメンタリーというものをますます身近にしてくれます。かつてのフィルムという媒体のもつ“触感”が失われたのは残念ですが、それ以上の新しい“視点”というものを獲得したことは大きい。今回のように、歴史資産が消失するという大事件においても、以前の威容と容易に対比できる利点があります。

フィルムの良さを忘れ安易にデジタルへと走る姿は好ましくないけれど、デジタルだからこそ可能な映像というものは、やはり我々観客の胸を打つ。ひいては、ともすれば日常的には忘れがちな非常時に活躍する人々の尽力というものにも、おおいに気づかせてくれるのでした。今ちょうど集中豪雨が各地に被害をもたらしています。その自然の猛威を防ぎ、傷跡を修復してくれる皆さんに、改めて感謝したいとつくづく感じました。
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