mixiユーザー(id:6327611)

2020年07月05日05:05

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ラテン語を持ちだして箔をつけようとしても、中身が伴わなかったね。ジェームズ・グレイ監督「アド・アストラ」(2019)。

アド・アストラって、“星へ”というラテン語なんだそうですね。わしゃ学がないもんで知る気にもなりませんわ。どっちかというとバス・ライトイヤーみたいに“無限の彼方へ”とノーテンキに展開してほしかった。

物語は、アメリカ宇宙軍のロイ・マクブライド少佐(ブラッド・ピット)が、海王星付近で死んだとされている父親(トミー・リー・ジョーンズ)の遺物が太陽系に電波嵐をもたらしているらしいとの密命を受けて、探査に出かけるというもの。

僕は最初、ロイが宇宙空間のステーションで働いていると思って見ていたのですが、その外部の梯子から多くの作業員が“落っこちる”のを見て、“なんじゃこりゃ”状態でした。宇宙服を着て成層圏で働いているのに梯子に手でつかまるだけって、何これ。でもってパラシュートで地上に戻ったロイは月へ行き、そこから火星経由で海王星へと向かいます。

ところが月面基地は“紛争地域”を抱えていて、“西部劇さながらに”盗賊に襲われます。←“”内の言葉は字幕から引用。護衛が付くって、ジープ1台程度かよ。シリアの紛争地域でも、もっと護衛が付いてるで。そもそも人を運ぶだけのジープ2台を襲って何を盗るつもり? 先述のパラシュートが爆発した破片で穴が開くとか、要らざる細部描写だけはあるのですが、全体的なシステムなどを想像させる画面が皆無なので、構成が安物のテレビゲームでした。

つまり途中に不要な盗賊やら、父親の参加した計画に反乱者が出ただの、シナリオ段階では“一難去ってまた一難”のつもりだったのでしょうが、その間を埋めるドラマが、いかにもSF文芸大作を狙った(もちろん大ハズレ)ゆったりした(=だらけた)展開なので、全く乗れません。そもそも実年齢からするとブラッド・ピットは父親が17歳の時に生まれているわけで、トミー・リー・ジョーンズと同世代の僕には“辛抱たまらん”のです。

そもそも冒頭に“近い未来”とテロップが出るけど、1968年の「2001年宇宙の旅」の“距離感”からすると、この近い未来は30世紀じゃないのか。火星の地下にあれだけの施設を建設するには、物資を運搬する輸送ロケットが何億台か必要に思えるのですけど。

という風に、宇宙音痴な僕には謎ばかりが渦巻いて、30年ぶりの父子対面の感動なんかこれっぽちもありませんでした。だって二人とも、数分前に控室で談笑していただろっていう緊張感なんだもの。もっと言えば、リブ・タイラーの魅力のない扱い方はなんじゃ。西部劇もどきのアクションを加えるのなら、せめて「エックス・マキナ」みたいなアイ・キャンデーを付けろ。

てなわけで、実にしょーもない2時間3分でした。この作品がいかに“宇宙の論理”に対して正確かを説明していただかなくても結構ですよ。僕は“映画の論理”に合致しない作品は“クソ”だと考えているだけです。この映画の予算の1/100でも僕に与えてくれたら、この映画より100倍優れたピンク映画を製作できるんだけどなぁ。←実際にくれたら、毎晩自宅で“夜の繁華街”を開いてしまうけど。

結局、“おっ”と思ったのはオープニングが、ファンファーレなしのSEだっとことだけ。これで「サウンド・オブ・ミュージック」を意識して、以後の展開に期待してしまった僕は、フォックスと同列にプランBのロゴが出た時点で、その出来を予測するべきでした。こんなA案を映画にするよりB案にしとけ!
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