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2020年07月03日01:27

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僕は高橋留美子の「うる星やつら」を全巻所蔵していましたが、劇場版アニメを見たのは今回が初めてです。押井守監督「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」(1984)。

僕は手塚治虫の「鉄腕アトム」がハードカバーの単行本になった頃からマンガ本を読みふけっていました。だからマンガは大好きですが、テレビでアニメ化された「鉄腕アトム」が、僕の期待したアニメとは桁外れにダメだったため、テレビアニメは別モノと考えるようになりました。以後、大島渚の「忍者武芸帳」を例に引くまでもなく、“マンガが好きならアニメは見るな”という教訓が身に着いたわけです。

ということで、その教訓は最近まで続いていました。さくらももこの「ちびまる子ちゃん」は、テレビアニメが先だったのでOKでした。最近はマンガ本を読むことがなくなったから、京アニの諸作などはいろいろ楽しめました。だからといって、「うる星やつら」までアニメを見る必要がない。

なのに今ごろ、なぜ見たのかというと、大作家芸術大学を卒業した島本和彦というマンガ家の「アオイホノオ」のせいです。島本(僕よりずっと年下だし、マンガファンとしても駆けだしだから呼び捨て)が、“俺だけは認めてやる”と語る高橋留美子に対するオマージュに接したら、やはり“うる星”の「劇場版アニメ」を見るしかないでしょう。

ちょうどたまたま、シネフィルWOWOWで6作品一挙放送してくれたから、これ幸いと録画したしだいです。そして、順番に見るよりは何はともあれ「ビューティフル・ドリーマー」だろうと「2」から見始めたわけです。そしたら、1983年というあの時代に、これだけ好きなことをアニメにしている人間がいたことがよく分かりました。

僕は押井守という人のアニメは、せいぜい「天使のたまご」を見ただけですから、アニメ作家としての彼を論じるつもりはありません。しかしハロルド・ライミス監督の「恋はデジャ・ブ」の10年前に、同じ日が繰り返し訪れるという物語をSFから頂戴してくる、いや頂戴して劇場用アニメにぶちこんだという快挙は褒めておきたい。

僕は既に「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズの「エンドレスエイト」を見ているわけです。あるいは「シュタインズ・ゲート」も。映画などではときおり、原典を見る前にオマージュ作品やパクリ作品を見過ぎて、原典がかすんでしまうことがありますが(僕の場合「戦艦ポチョムキン」が好例)、この「ビューティフル・ドリーマー」はそうではなかった。

もちろん、今さら褒めたたえるという出来ばえではなく、いろいろと小ネタの盛り込み方が楽しいのです。たとえば夢邪鬼の声を藤岡琢也が担当しているから、関西的なイントネーションが実にいい感じでした。あるいは、併せ鏡の映像のような風景描写も、おもわせぶり感が少なくて好ましい。僕にはこれらを“節度”だと感じることができたわけです。

これがエンキ・ビラルやアンドリュー・ニコル、もっと端的に言うとリュック・ベッソンですが、彼らのやり口はもっと露骨に商業主義なのです。しかし押井守のこの作品は、「ミツバチのささやき」の引用に関しても嫌みがない。←そういえば彼の別の作品見てました。冒頭で「ブレードランナー」の湿った未来をそのままパクったようなヤツ。あそこまでいくと僕にはバカバカしい。

てなわけで、遅ればせながら「ビューティフル・ドリーマー」を追認しておきます。あとの5作品を見るかどうかは、これから決めます。その前に見なくちゃいけない映画が山ほどある、いや山となって積みあがっているのです。もし僕が無限ループ地獄にハマったら、あつめたDVDを全部見終わるまでループにとどまるでしょう(笑)。
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