mixiユーザー(id:6327611)

2020年06月05日05:47

235 view

CSで放送したので、待ってましたと飛びついたら、くそボールを空振りしたみたいです。ジャン・ルノワール監督「草の上の昼食」(1959)。

未だにVHSしか持っていない作品なのです。だからザ・シネマで放送すると知って、喜び勇んで録画しました。そして、待ってましたと見始めたら、まず画質にがっかり。かつてVHSを発売したときの素材を、そのままアップコンバートした程度の画質でした。つまりアナログ525本の走査線(もちろん飛び越し走査です)しかありません。これを1080本に変換したところで、ハイビジョンの半分の走査線(面積だと1/4以下ですな)でしかない。

同じことがスターチャンネルの“朝マックイーン”こと「TV拳銃無宿」シリーズにも言えますが、こちらは昔それを見ていたという“実体験”が補完してくれます。でもルノワールの作品は、もともと35ミリ版ですから、今どき放送するのにアナログ放送素材をアップコンするだけで済ますのか!と腹立たしい。

実は僕、劇場で見ておらず、VHS化されたときに初めて見たわけです。そしたら人工授精による人類のエリート化を説く大学教授(ポール・ムーリッス)が、肉感的な田舎娘(カトリーフ・ルーベル)とねんごろになって…という、実にのほほんと楽しい作品でした。そのとき、公開時に見ていなかった無念さを覚えたので、このハイビジョン時代になっての初放送には期待するじゃありませんか。

ということで大いなる期待をして見たら、とてつもない“釣り玉”で振りだしたバットが空を切ったしだい。ま、“待ってましたど真ん中の半速球”と、ほとんど目をつむって振りに行った僕が悪いのですけどね。せやけど、この画質だと知っていたらVHSからDVD-Rにしておったわい。とりあえず、そのつもりでDVD-Rにするけど。

もともとカトリーヌ・ルーベルという女優さんは、たしかに肉感的なんだけど、そこんところが僕の嫌いな“田舎娘”なんです。ソフィア・ローレンが「河の女」で登場したときも、僕はちょっとたじろいだ(小学校低学年だけど)わけで、それよりはハリウッド映画におけるジーナ・ロロブリジダがええ、と思っていました。女優に対しては今なお、野性的な魅力より都会的な美を求めています。←あの〜、実生活において僕は“映画のレベル”を求めておりません。←念のため申し添えます。

ということで、この程度の画質でハイビジョン放送と言うなと怒り心頭なのです。だから、ブルジョア男女の色恋感覚や、田舎娘の兄夫婦の奇天烈な献身的女房像も、僕個人への嫌みとしか思えませんでした。救いは放送時間が90分を切る長さだったこと。つまり、これまたフランスにおけるテレビの送信システムがPALと同様の毎秒25フレームということから、24/25の長さになったものと思われます。詳しい方、間違いがあれば教えてください。

そうは言うものの、ルノワールのこの作品をいまさら本格的にデジタル・リマスターする奇特な人はいないでしょうから、僕としては捨ておくしかないということでしょう。とりあえずVHSを捨てることにします。少しでもスペースの有効活用になるもので。

でも、羊飼いが牧笛を奏でると突風が襲うシーン(写真3)を楽しめる方には、けっこういい映画だと思いますよ。前回はそれを見て楽しんだのですから。今回僕は、その手には乗らなかったというだけの話でした。
1 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年06月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930