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2020年04月07日04:05

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“世界のミフネ”が初めて外国で主役を演じた歴史的に価値のある映画。イスマエル・ロドリゲス監督「価値ある男」(1961)。

まずオールシネマ・オンラインでは、上映時間を110分としていますが今回日本映画専門チャンネルで放送したバージョンは1時間40分を数秒切る長さでした。imdbには1時間44分とありますが、これはメキシコでの上映時間。アメリカ公開版は1時間40分とありますから、日本公開のフィート数(キネマ旬報に記載)と合致します。どなたか訂正要請を出しておいてください。

物語は、メキシコのある村が舞台。貧しい村ですが毎年祭りが行われ、その祭で“最も価値ある男”に選ばれることが男たちの名誉となっています。呑んだくれでろくに働きもしないアニマス・トルハノ(三船敏郎)は、酒と賭けに明け暮れながら、大金をつかめば“価値ある男”に選ばれると夢みて生きています。

なんとも僕が考えている三船敏郎像には似つかわしくない役どころでした。せめて「無法松の一生」のような、表には出せない純粋な心というものが欲しいと思いますが、それではこの映画の目指すところからは外れてしまうのでしょう。学問がなく文字も読めないという自分を卑下する、しかし向こうっ気だけは強いアニマスという人物が、三船敏郎という個性によってここまで具体化した事実を楽しめばいい映画です。

必死に家庭を支え、子供たちを育て上げる立派な妻(コルンバ・ドミンゲス、写真2)がいるのに、妖婦のような女カタリーナ(フロール・シルベストル、写真3)に手を出してしまうアニマス。アニマスの価値観からは当然なのですが、三船敏郎という俳優にはいかがなものか。しかし、アニマスが三船だったからこそラストの決断に“意味”を込められた、とも言えるでしょう。今の僕は三船が、特攻隊として出撃する若い兵士たちの写真を撮る仕事をしていたことを知っていますし。

不思議だったのはラスト近くで、妻と妾(でいいのかな?)の対決場面が直接写されないこと。間接描写でエンドへとなだれ込むので、ここがアメリカ版で短い“4分間”なのかと思ってしまいました。ここだけで4分だとくどいから、他にも短くした部分があるでしょうけどね。

巻末に三船プロダクションとクレジットされたので、現在日本での権利は三船プロが持っているのでしょう。字幕が秘田余四郎ともうひとり連名でクレジットされていましたから、公開当時の字幕を手直ししたのでしょう。僕が「シベールの日曜日」で覚えた懐かしいお名前に接することができました。秘田さんは、1967年に亡くなっておられるのですね。

ということで、映画としてはいまさら内容の価値を云々する気はありません。しかし誰かのために死を覚悟するという考え方は、やはり僕には向かない。というか、映画でそんな生き方を示してほしくないと思います。とくに子供のころに見て感化されていたら、変な方向に進んでいたかもしれないと思うわけです。

とはいえ公開当時には見なかった作品ですし、三船敏郎生誕100年の今年、この作品が有料であれテレビ放送されたことはありがたい。三十郎とは違う三船敏郎、いやおそらく他のどの出演作とも違う三船敏郎の姿が見られたという意味で、今だから見る価値がある映画だと思いました。

なおこの映画は、カタリーナ役のフロール・シルベストルのお気に入りの映画で、三船敏郎との仕事は素晴らしい名誉であり、人生で最高の時間のひとつだったそうです。
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