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2020年04月06日05:03

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大手映画会社が自主映画に色目を使うなんて、恥を知れ。それを見てしまった僕も恥じるから。ジョシュ・トランク監督「クロニクル」(2012)。

スターチャンネルは時々数年前の作品をぽろっと再放送するので、“見逃していた”とあわてて見てしまいました。すでに何年か前に録画していたけど、今まで見る気にならなかった作品です。アメリカでは公開時にサプライズ・ヒットとなったらしい。ビデオカメラで日常の行動を記録し続けるオタク高校生が主人公で、そのカメラや友人のカメラ、ドライブレコーダーや監視カメラの映像(という前提)だけで構成しています。

物語は、母親が病気で父親は無職で酒びたりという家庭の一人息子アンドリュー(デン・デハーン)が主人公。従弟で同学年のマット(アレックス・ラッセル)が車で登下校の送り迎えをしてくれてます。その二人が、学内の人気者(マイケル・B・ジョーダン)に連れられ、森の中の穴に入り、正体不明の物体から超能力テレキネシスを授かる、という展開です。

僕はこの後に作られたパソコン画面だけで構成した「SEARCH/サーチ」を見ていますから、カメラ小僧の自撮り映画仕様なんか新鮮ではありません。むしろ「ブレアウィッチ・プロジェクト」以来、忌み嫌っているのですが、とりあえず映画として鑑賞できる画質は保っています。今ならスマホでハイビジョン画質が撮影できますが、2012年当時はそこまで行ってなかったでしょう。だからとりあえず全編ハイビジョン画質(2Kだけど)にしたところはメジャー映画の意地として認めたい。

しかし「ブレアウィッチ・プロジェクト」以来の素人臭さを前面に出した作りが疲れます。僕には誰ひとり見知った顔がいないこともキツい。上映時間が84分と短いけど、全編見せ切る力はこの作品にはありませんでした。でも乗りかかった船だから見てしまったけどね。

ただ言えることは、いちおう“鑑賞に堪える”レベルの画質なんです。だからクライマックスの一大イベントになると、もう笑ってしまうしかない。それに比してドラマの内容が暗いから楽しさが爆発しない。せいぜい学園祭の余興で超能力を披露して人気を博する部分がほっとする程度でした。

要するに主人公がバカなんです。超能力をどう生かすかを考えない。そして周囲もそんなバカを誰ひとり(近所の悪ガキですら)相手にしない。その部分がドラマの前面に出てくるのですが、とても感情移入できる主人公じゃないし、さりとて笑い飛ばして楽しめるはずもない。見ていて寂しくなるだけなんです。そんな映画、見なくていいでしょ。

ということで全米でヒットしたらしいけど、その熱が去った今この映画を見ても意味はありません。だって自主製作の画質が追い越しているから。ということで「カメラを止めるな!」にすら負けているハリウッド映画だという結論でした。写真3のカメラ少女のように、鏡を使ったり自撮り画像が無理やり多用されるわけで、ドローンすら使われていないらしい“過去の映像”集なのです。
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