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2020年04月02日05:34

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60年前の初見では少年から、そして今回の再見では老人の側から見てしまいました。ジョン・スタージェス監督「老人と海」(1958)。

この映画はヘミングウェイの原作が広く知られていたことから、父親が連れて行ってくれました。説明が面倒な大人の男女関係がないし、小学生の僕を連れていくには最適だったのかも。

それと監督がジョン・スタージェスだということに気づくのは高校生になってからです。なにしろ“決闘三部作”の合間にこの映画を監督しているわけです(笑)。imdbのトリビアによると、フレッド・ジンネマンと交代したみたいですね。原作者のヘミングウェイはどう思ったことやら。

たしか中学か高校のころに原作を読んだ気がします。読書の課題だったような。兄が英語対訳のシナリオを持っていたな。英語の原作を手にした記憶もあるけど、まったく覚えていません。英語の教科書に一部引用されていたのかも。

でもって今さらなぜ手を出したかと言うと、不要不急の映画選択ですわ。別に見なくてもいい作品に手を出したくなりました。なにしろ上映時間が90分を切っている。子供のころ見たわけですが、あのころナレーションとモノローグだけで90分近くというのはキツかった。でも、結構引き込まれたような記憶があります。

今回驚いたのは(というか当然なのですが)、初見のときは少年の視点から見ていたのに、今は老人の視点から見てしまいます。スペンサー・トレイシーは当時58歳ですから、今なら壮年ですね。でも公開当時は定年が50歳だったから、立派な老人でした。アンソニー・クインという話もあったようですが、当時43歳です。今の僕の息子より年下ですがな。少年が老人のプライドを傷つけないように援助するあたり、泣かせますなぁ。

そして音楽がデミトリー・ティオムキン。「OK牧場の決斗」と「ガンヒルの決斗」の合間にこの作品か。撮影はジェームズ・ウォン・ホウですが、フロイド・クロスビーとトム・タトワイラーに加えて、海中シーン撮影はラマー・ボーエンとクレジットされていました。imdbによると、さらにウィリアム・フレイカー、リチャード・クラインらも参加していたようです。

原作者ヘミングウェイとその奥さん(マリア・ヘミングウェイ)も出ていたようですね。こんどゆっくり確認しよう。って、いつのことやら。せっかくカリブ海の陽光の下なのに、女優の楽しみがない映画です。大半が老人ひとりが画面を占めている。そういえばロバート・レッドフォードが最近、独りで漂流する映画を作ってましたね。それよりずっと明解な映画でした。

短編小説の映画化だから、リーダース・ダイジェストなんか必要ないのですが、原作に手を出すよりは手軽だというメリットはあるでしょう。でも“あじわい”が必要な方は、ぜひ原書をどうぞ。今この作品を見ると、スクリーン・プロセスとか、水しぶきの不自然さとか、余計な部分に気を取られてしまいます。少年時代の純真さが懐かしいなぁ。
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