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2020年02月24日05:58

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アルツハイマー病の治療は薬だけでは無理ではないかという仮説は、とても自然で説得力がある。NHK、BS1スペシャル「大切な記憶は何ですか?〜アルツハイマーと戦う〜」。

僕はアルツハイマー病と認知症の区別すらつきませんが、かつて言われた“老人性痴ほう症”については自分がどんどん近寄っている気がしていて、心配してはいます。さりとて、どのように対処するべきかは具体的に考えてはいません。とりあえず高齢者となった自分を意識して、体力を持続させるための運動(散歩程度ですが)は行っています。

とりあえず、ボケの症状はちらほら自覚しているけれど、大事には至っていないという判断ですね。どの程度かと言うと、テレビドラマ「ゆるキャン△」を見て、アニメ版とそっくりだと思いつつ(ちゃんと記憶しているなと自己満足)、主要人物の各務原なでしこが作った“キムチ餃子鍋”って面白そうだな、なんて見ているわけです。

そしてあくる日、女房に“キムチ餃子鍋を作ってみようか”と問いかけようとして、“キムチ”という単語が思い出せない。“チゲ”なんて言葉が出てくるけど違うと分かっている。これはヤバイと感じました。しかし、どう対処すればいいかまで考えないし、大したことないやと思いこもうとする自分がいる。

という状況で、「大切な記憶は何ですか?〜アルツハイマーと戦う〜」というNHKの番組を見たわけです。100分という長編ドキュメンタリーですが、仙台に住む蘇武さんという方が初期のアルツハイマー病だと診断される様子を見ると、他人ごとではないと感じつつ、まだ自分はマシだと信じ込もうとしました。

何が最も印象的だったかと言うと、“アルツハイマー病は、屋根にたくさんの穴が開いた状態だ”という例えです。その穴を治す特効薬を探していたデール医師が気づいたのが、穴ができる原因がまちまちだということ。だからある種の穴を修復する特効薬が発見できても、それ以外の原因による穴が修復されない、という考え方です。

そこでデール医師は、患者から克明な聞き取りを行い、カウンセラーとの共同作業で生活習慣をこと細かに改めるという方法を用います。その手法はしかし、アルツハイマー協会からは“治療”とは認められず、支援されません。“治療ではなくビジネスだ”という判断です。これが僕には痛烈でした。

でもこの番組は、デール博士たちの実践行為でアルツハイマー病を克服しつつある人々を紹介します。炭水化物中心の食生活を野菜中心に改め、他人の顔を覚えられなくなっていた女性が回復します。先ほどの蘇武さんも、自分が最も大事だと思っていた父親との記憶を思い出せなかったのですが、それを思い出すことができるようになる。

まさに密着ドキュメンタリーならではの、見事な内容だったと思います。しかし、前半50分の締めくくりに、蘇武さんが大切な記憶を思い出せずに涙する映像を見せ、エンドマークの寸前にはその記憶が甦ったことを見せる、その作劇姿勢には“?”を感じました。このドラマチックな構成が“すばらしい”とは感じられず、“したやったり”という演出家の存在を見てしまったわけです。

つまり、アルツハイマー病というやっかいな病気にここまで肉薄していながら、こんな作意でこのドキュメンタリーを締めくくっていいのか、と思っています。アルツハイマー協会も、デール博士たちの手法が治験という実態を伴えば認めていく方向なのですが、冷たく“ビジネスだ”と言い放つ協会の人間の姿が、ドラマの悪役程度に見えてしまいました。それてば安っぽすぎる。

ということで僕には、取材陣のしてやったり感がウザいドキュメンタリーでした。とはいえ、その印象は、自分の問題としてボケ症状改善の努力を怠ろうとする怠惰意識に起因するものであってはいけないので、生活改善についてはなんとか実施しようと思います。キムチ餃子鍋は魅力的だけど、炭水化物過多になってはいけないわけです。さりとて野菜中心の食事メニューって、そう簡単には行かないなぁ。

結局のところ、まあ、ほちぼち行きますわ、という安易な結末を選ぶ自分がいるのでした。2月28日にも再放送があるようです。興味のある方はぜひご覧ください。
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