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2020年01月27日04:55

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54年の歳月を経て作られた“続編”は、映画技術の進歩というものを教えてくれました。ロブ・マーシャル監督「メリー・ポピンズ リターンズ」(2018)。

前作「メリー・ポピンズ」(1964)が、日本では1966年の正月映画でした。前年夏に「サウンド・オブ・ミュージック」が公開され、そのジュリー・アンドリュースがアカデミー賞を受賞したミュージカルです。だから大いなる期待を持って映画館に駆けつけました。そしたら当時は珍しかった全館指定席入れ替え制。料金もいちばん安い席でも400円と、25%増しという状態でした。なのにスタンダードで(4チャンネルステレオだけど)、アニメとの合成場面が“合成バレバレ”でがっかりしたものです。

とはいえ、“2ペンスを鳩に”というナンバーは心に染みたし、とりあえず“チム・チム・チェリー”とか“スーパーカリフラジリスティックエクスピアリードーシャス”など、レコードを買って何度も聴き直すほどのナンバーがありました。今回は曲の数は多いけど、ひとつも覚えとりません。まだ「アナ雪」は、主題歌くらい口ずさんで映画館を後にしましたね。

とはいえ、話は知っているからおばはん家庭教師への不満はありません。←「サウンド・オブ・ミュージック」の理想的な母親像と同一人物とは思えなかった落差とは大違い。そしてスコープサイズになった画面が、前作にはなかったスケール感を見せてくれました。音楽も演奏の厚みを感じるし、スペクタクルな群舞も及第点だと思う。あとは映画が面白ければ文句ないのですが、そうはイカの足(烏賊)ですねん。

まぁ、imdbの得点を見てください。6万人以上の投票があり、そのうち9%以上が10点を投じている。こんなん、組織票としか考えられないわけです。もっと“自然な分布”による説得力を演出せんかい。つまり、その程度の姑息な手段で観客は欺けると製作会社は考えているのですよ。これは自分たちのブロックバスター映画に対する過信というか、会社としての“おごり”そのものでしょう。

たとえば、手描きアニメとの合成を行っていて、そりゃ半世紀以上の時が流れているから、技術革新は素晴らしいと思う。だけど、そんな前世紀の技術と比較して、こんだけすごいねんでぇと自慢してどうする。本来なら、ハイテクみせびらかしではなく、内容で前作を上回らないといけないわけです。それが不可能なら、いまごろ続編を作るんじゃない!

ということで、1980年生まれのベン・ウィショーが、前作では子供だったという設定です。「007」で新兵器を作るQも、画家としては大成せずしがない銀行員なのか。その銀行の頭取が前作では煙突掃除人だったわけで、93歳とは思えない踊りを見せますが、この製作会社のことだからCG合成でしょとスルーしました。風船売りがジュリー・アンドリュースじゃなくてアンジェラ・ランズベリーだったのも残念です。

しかしながら、半世紀前の前作が「サウンド・オブ・ミュージック」の圧倒的なロケーション効果の前にかすんでしまったという“歴史的事実”を、全く無視してしまう方向性はいかがなものか。あれ以後、舞台ミュージカルの映画化には“ロケ撮影禁止”という方向性ができたようで、その世知辛い発想をぶち壊すほどの内容を作れない製作陣が問題だと思う。

結局個人的には、「パディントン」でええんとちゃうの、という程度の映画でした。ロブ・マーシャルって、便利に使われてるけど、それで幸せなのかい?と要らぬ心配までしてしまう作品でした。メリル・ストリープの出演場面がなければ、2時間を切ってたんじゃないかな。まぁ“トプシー・タービー”の意味が分かっただけでよしとするか。そもそもエミリー・ブラントが湯船から出てくるとき、服を着てるなんてサイテーでしょ。←エロじじいが取り乱してるのは恥じゃのう。
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