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2019年12月16日06:23

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これは私立探偵もののプロットを借りた西部劇だ。きうちかずひろ監督「鉄と鉛 Steel & Lead」(1997)。

東映チャンネルと契約していたときに録画してあった作品ですが、友人がこの作品で使っていた拳銃がこれと写真をアップしたので、録画してあったことを思い出し見ることにしました(こうやって見ずにDVD−Rにしたまま棚にしまってある作品の多いこと!)。なぜ録画したかというと、きうちかずひろ監督の「カルロス」というオリジナル・ビデオが好きだから。

物語は(以下ムービー・ウォーカーからコピペします)、元刑事の中年探偵が依頼を受けて探し当てた男が、当の依頼人であった愛人・純子によって殺された。殺された男は暴力団浜健組組長の一人息子で、しかも妊娠中の妻がショックで産気づき、生まれた子供は22時間13分で死んでしまったという。浜健組組長は純子を警察の拘置所で弁護士に化けたヒットマンに殺させ、さらに探偵のもとにも乗り込んできた。

中年探偵が渡瀬恒彦で、浜健組組長が平泉成、その右腕で探偵に張りつくのが成瀬正孝、組長の一人息子を撃ち殺したのが白島靖代、それを撃ち殺した弁護士に化けた男が竹中直人でした。でもって探偵は組長に、22時間13分後にお前を殺すと宣言され、寸前に依頼があった女子高校生からの“兄を探してほしい”という依頼を受けることにする、といういささか複雑な(というか、ええんかいなという)内容でした。

実はその兄という男が、何億という悪銭を動かす男の幼い息子を誘拐して大金を要求しているわけで、相当込み入った話なのですがわりとすんなり語ってくれました。もっとも、命の期限を区切られているのに、一度は断った依頼を引き受ける探偵というあたりとか、日本を舞台にして銃撃戦が行われるとか、荒唐無稽なところがポイント。

こんな話につきあえないという方は、それはそれで“正しい”と僕は思います。でも、探偵に張りついたヤクザが、しだいに探偵を応援していくあたり、たとえば「七人の無頼漢」のリー・マーヴィンを思い出させてくれたことから、僕は全編見てしまいました。「七人の無頼漢」なんて、どうでもいい映画なのですが、子供のころに見てリー・マーヴィンとランドルフ・スコットの関係だけ印象的だったもので。

つまり、かつてのB級西部劇の物語から着想した、そして臆面もなくそれを探偵ものに作り変えてしまうという、その心意気が僕には好ましかった。張りつくやくざを演じたのが、ピラニア軍団でおなじみの成瀬正孝だったことも個人的には大きいと思う。これが僕の、“世界一わがままな映画ファンの一人”たるゆえんですから、よい子は真似しないでくださいね。

ところで僕は、この映画をオリジナル・ビデオだと思っていたら、劇場公開していたんですね。だからといって雑誌で大きく取り上げるべき作品ではないので、スルーしていてもやむを得ないけど、西部劇だと考えれば、牧童の一人が張りついて結局手助けするあたり、簡単に納得できます。渡瀬と成瀬の関係にはそれがありました。

最近、手当たり次第に見る映画をクサしてばかりいた感がある僕ですが(わかっちゃいるけど、やめられねぇ)、気に入った部分があれば作り手の心境へ乗り込むこともあるんです(どうも言い訳っぽいな)。というか、自分の気の向くまま、勝手気ままにひいきを作る、といってもいい。だってそれが映画のだいご味でっしゃろ?

ということで、今回は巻頭グラビアにだけ登場した白島靖代と竹中直人(これをカメオとは呼びません)に好感を持っただけとも言えます。何かピンとくるところがあれば、それは僕にとっていい映画。なにも人生の友になる映画だけが映画ではないのです。そしてまた僕だって、アイ・キャンデーだけを求めて映画を見てるのとちゃうからね。

いや、なんとなく言い訳がましい話になりましたが、きうちかずひろ監督ってなかなかやってくれますよ。こういう作品が、毎年20本くらい欲しいな。映画関係の皆さん、頑張ってください。
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