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2019年12月15日06:25

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自主製作映画が、日本映画の質を高めているという事実は、今や間違いない。第77回TOKYO月イチ映画祭に参加して。

今回も6作品、各地の映画祭で注目された短編・中編(つまり長くても40分程度の作品)を集めて開催されました。以前、出品した監督さんが“月イチ映画祭は最後の映画祭”と語っていました。あちこちの映画祭をめぐって、その集大成的な位置にあるようです。これは怠惰な僕には格好の映画祭です(笑)。

まず前回グランプリの橋本根大(はしもと・ねびろ)監督「東京少女」を無料上映しました。8分13秒のコラージュ作品で、2度目はどうかと危惧していましたが、やはり快調なテンポで見せる。1カットをうんと短く、それでいて不快感のない積み重ねが見事でした。この表現力で、大きく羽ばたいてほしいと思います。

Aプロ最初の作品は東海林毅監督「帰り道」(9分30秒)。
第二次大戦末期の博多で、徴兵検査を受けた学生たちの帰り道での姿を描きます。それなりに綿密に調べ上げて作ったらしく、落ち着いていて好感のもてる作品ですが、3人の学生の内面に迫りきれていない残念さが残る。しかし説明を排して描こうとするスタイルは大事にしてほしいと思いました。

続いて小林でび監督「1万円マン」(44分)です。これが今回最も長い作品。
でび監督の作品を見るのは4作目ですが、今まで取り上げる題材の“笑いの感覚”に疑問を持っていました。今回もいささか僕と好みが違いますが、なによりもこの監督の作品はテンポがいい。それに乗せられて44分楽しみました。5年ほど前の作品だそうですが、この監督の実践する娯楽精神には感服します。それは生半可な“主張”を粉砕する。

そしてAプロ最後がしばたたかひろ監督「何度でも忘れよう」(11分、写真3)。
これはアニメですが、実写に手書き映像が合成されています。そして手書きによる微妙な絵の揺れの動きが面白い味を出していました。映画というものは、映像と音のコラボですから、この映像感覚は評価しないといけない。そう僕は思います。

Bプロ最初が、高橋名月監督「正しいバスの見分けかた」(24分、写真1)でした。
ある高校生たちの放課後と帰宅前を綴ります。その生活感覚がとてもいい。淡い色調の画面は少し作意が過ぎると思うけど、何ということはない会話の積み重ねに味がありました。この味を開花させれば素晴らしい映画監督になれる気がする。月イチ映画祭から井樫彩監督に続く俊英が現れたと、僕は色めき立ちました。

ところが連絡を担当した岩崎監督(いつも司会を担当しています)のミスで、今回は出席できませんでした。トリウッドでの上映とダブスケだったとか。ということでグランプリとなって来月の再上映に来てもらえることを期待しました。その前にトリウッドでは年内、同監督のもう一作品「なれない二人」と上映中ですから、そっちへ見に行く方がいいかも。その努力を惜しませない作品でした。

続いて田中晴菜監督「いきうつし」(30分、写真2)。
人間そっくりの人形を作るという人形師の物語で、実に見事な映像世界を構築していました。出演者が男女2人だという“制限”は僕には不要ですが、そのことに不自然さは感じません。しかし、濃密な映像ながら、彫り物の作業を一切見せないとか、セット撮影による空間的な圧迫感が、いまいちマイナスになっていると思います。だから推敲を重ねたであろうセリフも途中で息切れし、そんな感覚が小銭の中に1円アルミ硬貨がまじっているように思え、僕を白けさせました(舞台は明治です)。

もっと男女の情感が観客に迫り、情念で押し切ってくれれば僕の眼に1円アルミ貨とは見えなかったはず。あるいはわざわざ古い紙幣に注目させようとした意図が、僕に逆に働いたのかも。見せるのは小道具ではなくて、人物の内面なのです。しかし作り手の実力には感服しました。今後の活躍を期待します。

今回最後の作品は高橋洋監督「夢の丘」(12分)。
この映画祭の常連監督ですが、彼が作る世界観に僕は興味がないのでパスします。好きな人だけどうぞ。

ということで、たまには小林でび監督をグランプリに推そうかと思いましたが、やはり「正しいパスの見分けかた」に一票を投じました。そしたら、それが今回のグランプリとなりました。どうも僕の感覚が月イチ映画祭になじんできたようで、これで参加した3回連続で僕と同意見のグランプリとなっています。いいことか悪いことか、それは歴史が決めるでしょう。

この映画祭は毎月第二土曜日に行われていますから、第二土曜日はスケジュールを空けておくといいですよ。思いがけない秀作に巡り合えたりします。もはや日本映画は、自主製作作品を無視しては語れない時代だと思いますし。というか、映画代を払ってここまで満足できる日本映画が、ほかにどれだけあるか?ということですね。
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