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2019年10月22日09:55

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クラウディア・カルディナーレの冷たい視線に愕然。アントニオ・ピエトランジェリ監督「気ままな情事」(1964)。

アントニオ・ピエトランジェリという監督さんの映画は「三月生れ」しか見ていません。脚本を担当した作品にルキノ・ヴィスコンティの「揺れる大地」(1948)があり、これは何回か見ました。とはいえ、今回の艶笑コメディーは初見。日本で1965年の3月公開ですから、僕が高校2年生から3年生になるころです。艶笑コメディーより、“もうちいと激しい内容”なら見たでしょうけどね。

物語は、金持ちのアンドレア(ウーゴ・トニャッツィ)が若く美しい妻マリア・グラツィア(クラウディア・カルディナーレ)の貞節さを疑う、というもの。当時26歳で、はちきれんばかりの肉体美を誇るCCを嫁にしながら、そして自分は有閑マダムのミシェル・ジラルドンと浮気をしながら、妻に対して食って掛かる。そんなん今作ったら、作り手たちは社会的に総攻撃されるでしょう。

男性の身勝手な立場から主観的に描いたコメディーなのですが、なんともユルユルで2時間3分もありました。でもブルーレイの画像が鮮明で、そういう意味では魅力ある作品です。アンドレアの空想シーンでCCがストリップを行うシーンが延々とあり、これなんか当時としては“出血大サービス”という内容ですね。ヘイズコード全盛のアメリカには無理。

もちろんCCは、きわどく露出していますが下着をきちんと着けています。それが見えるから興ざめ(はい、今の感覚になってます)ですが、当時はこれでも“ありがたく頂戴”した輩がいたのでしょう。僕はその当時18歳未満だから発言権はありません。←しかし、ハイビジョン放送されたら録画しなくちゃ、とひそかに考えています。

僕が最も驚いたのが、アンドレアの執拗な疑いにマリア・グラツィアが浮気したと嘘を言った後です。亭主が意気揚々と“思ったとおり!”とまくし立てている横で、CCが放心した様子で、しかし実に冷たい視線を送り続けるわけです。あの冷たさ、すごい。あんな目つきを女房にされたら、僕はもう自殺するしかありません。でもアンドレアはバカだから気づかない。←僕も気づいてないだけ?

僕は、ウーゴ・トニャッツイという俳優さん、気に入った作品がありませんね。出てきたらたいていウザイ先輩(年齢的に)という感じで、勇気があれば仲間とつるんで体育館の裏に呼び出してボコボコにしてたでしょう。カルディナーレだけではなく、「女王蜂」でマリナ・ヴラディ、「狂ったバカンス」でカトリーヌ・スパーク、「ヨーロッパ式クライマックス」ではステファニア・サンドレリと、当時のきれいどこを一手に引き受けてます。これで怒らん男は男やないで!

1964年のイタリア映画ですから、アンドレアの友人としてベルナール・ブリエが出ていたり、美人妻に言い寄る男がジャン・マリア・ボロンテ、奥様に色目を使ったとクビにされる門番が、「黄金の7人・1+6/エロチカ大作戦」(1971)の絶倫男ランド・ブツァンカ。さらに浮気妻の亭主(会長と呼ばれてます)がホセ・ルイ・ド・ビラロンガでした。これだけ出ていたら“映画検定”では“おいしい”問題作ですね。チェックしときや。

アントニオ・ピエトランジェリ監督(写真2左端)の名前をその後聞かないと思っていたら1968年の7月、映画撮影中に事故死していました。享年49歳。イタリアのネオ・リアリズムの一翼を担っていた監督さんであり脚本家ですから、商売を離れて自分の作品に挑める年齢となる前の他界が悔やまれます。遺作(写真3)には、ダニエル・ゴーベールがパラセーリングする場面があるそうですから、ぜひ見たいなぁ。
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