mixiユーザー(id:6327611)

2019年02月22日05:53

302 view

そろそろコーエン兄弟を見限ったほうがいいのか?と思いつつ諦めきれません。ジョエル&イーサン・コーエン監督「バスターのバラード」(2018)。

僕はコーエン兄弟の映画について“3割打者”と書いてきました。でも監督作を思い返すと、「赤ちゃん泥棒」(1987)という鋭い当たりのヒットがありましたが、その後「ファーゴ」(1996)、「ノーカントリー」(2007)というホームランがあったものの、そのほかは「バーバー」(2001)と「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」(2013)というヒットしかない。←ここで言うヒットは映画としてではなく、野球のヒットのことです。

結果的に見ると、阪神タイガースの“期待の外国人選手”と似た成績ですね。映画の場合は、強烈なホームランの印象で映画監督としての価値が決まる、みたいなところがあります。だから一発長打の印象がそうとう長持ちします。その流れで言えばひの作品も、劇場公開されないという部分に、とても納得してしまう映画でした。

まず、「バスターのバラード」という題名です。そのバスターが歌いながら登場する。そうなると「キャット・バルー」みたいに楽しい“弾き語り”映画かと思うじゃないですか。とはいえ、本格的ミュージカルというタッチではなく、シニカルなコメディーのタッチです。

コーエン兄弟がこの方向へ行くと、僕はたいてい詰まらないと感じてきました。今回も同じ。彼らの持つ“暗黒”の部分が、どうもピンとこないわけです。笑いだって、クスリともできないことが多い。そもそも、セリフが“リアル過ぎて”人の話に別の話が割り込むし、それを字幕がうまく処理できないから、見ていて苦しい。

さらに主人公のバスターが、さっさと死んでしまうあたり、拍子抜けでした。やはりドルーピーのように大活躍してくれなくちゃ。←「拳銃王」のシニカルさもなく、単なる“小話その1”という出来ばえでは、2時間13分という長さ(Netflixは冒頭で何分あるか分かります)の先行きが心もとない。ということで、1〜2のエピソードを見たらストップしつつ鑑賞しました。

各エピソードをメモしておきます(邦題はオールシネマ・オンラインからコピペしました)。
「バスターのバラード」"The Ballad of Buster Scruggs"(ティム・ブレイク・ネルソン)
「アルゴドネス付近」"Near Algodones"(ジェームズ・フランコ)
「食事券」"Meal Ticket"(リーアム・ニーソン)
「金の谷」"All Gold Canyon"(トム・ウェイツ)
「早とちりの娘」"The Gal Who Got Rattled"(ゾーイ・カザン)
「遺骸」"The Mortal Remains"(タイン・デイリー)
()内に記した俳優名は、その挿話で僕がいちばんなじみの名前、ということです。

個人的には、お気に入りのゾーイ・カザンが出てくる幌馬車隊の物語がよかったかな。トム・ウェイツの金鉱探しもまずまずでした(風景描写がいい)。でもリーアム・ニーソンの話は絶望的に暗いし面白くない。タイン・デイリーも40年前なら彼女目当てで見に行ったでしょうが、今となっては貫禄はあるけど、ねぇ?←ブレンダン・グリーソンも空振りでした。

ということで、あんまりほかに見ていないであろう、そして映画ファンならまずは“見たい”と思うであろう映画を見られて幸いでした。それ以上でも以下でもない。今年の助っ人がこの程度やったら、阪神タイガースの応援をやめてやる!という内容の映画でした。←この10年くらい毎年同じことを言うてる気がするなぁ。
2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年02月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
2425262728