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2020年10月17日14:58

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政府の処理水処分方針について

10月14日、福島第一原発の処理水の処分方針が、今月中にも海洋放出で決定する運びであると報じられた。

10月17日の福島民報「論説」から引用する。

>新たな風評を懸念する県民の声にまともに応えようともせず、さらなる負担を強いるような被災地無視のやり方は決して許されない。

>環境中への放出に際し、科学的な安全性を確保するのは当然だが、それが国内外に十分伝わっていない現状で放出となれば、「福島から『危険な水』が流された」との誤った見方が広がりかねない。加えて本県のみとなれば「県外では放出できないレベルだから」などと尾ひれがついて風評が強まり、固定化する恐れがある。

>政府の資料では風評を最大限抑制する処分方法として処理水を規制基準の40分の1まで希釈することを挙げている。「安心」の確保のためのようだが、このやり方は悪手だ。「安全性に疑問があるから他の原発より厳しくした」などと逆に受け止められる可能性がある。食品に含まれる放射性物質の基準値を設けた際に経験したことではなかったか。

>風評対策として新たな会議を設置するなどとしているが、後は「科学的根拠に基づく情報発信強化」「流通・消費者の理解醸成」など項目の列挙にとどまる。九年半余りの経験を検証し、県民の不安に応える具体的な方策を示そうという姿勢は感じられない。

>政府の無策のツケを被災地が負わされては、たまったものではない。
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この件についての個人的意見を少し述べる。
問題の根本には、原発に関わる政府の施策一般への信頼が失墜しているという事実がある。処理水の放出についても、基準値が遵守されるか・トリチウム以外の核種が放出されることは本当にないか等々について、厳重な管理と評価がなされなければならない。しかし現状これらの評価は東電が行っており、一県民としては、本当に信用できるのかという思いが強い。

政府から独立した中立的機関が福島第一原発の評価を行う体制が望ましいと前から思っている。できれば国際機関であるべきだ。これは海洋放出した場合に懸念が海外まで及ぶことから当然と思う。

トリチウムは各国の原発・再処理施設からも放出されているという意見もよく聞くが、設計通り正常に稼働している施設と、過酷事故を起こして現在も事故処理の最中である施設とは問題の性質が違う。運用に当っては「既に信頼が毀損されている」ことを自覚するべきだ。

さらには、今後海洋放出に関わるデータが隠蔽・改竄されることはないといえるかという問題がある。
海洋放出が実行された後で、データの隠蔽・改竄が発覚でもしたら、漁業者は致命傷を負うことになる。県産魚介類への信頼は二度と回復できなくなるだろう。
そのような事態になった場合に、政府が本当に責任をとる意志があるのか、この点も全く信用できない。

そういうわけで、私もやはり海洋放出には反対である。


なお、この件に関しても、例によって「われこそは理性的科学的精神の持ち主なり」的な人間たちが喋々し始めているが、これらを聞いているとチェスタートンの「狂人とは理性を失った人間ではない。理性以外の全てを失った人間である」を思い出す事が少なくない。

特に驚いたのは竜田一人氏のこの発言である。

https://twitter.com/TatsutaKazuto/status/1317123524528467973
>処理水の放出に際して「丁寧な説明が必要」が必要なのは、漁業生産者にではなく、流通・小売関係者に対してですよ。そこが「風評被害など起こさない」と言えば、この問題は大体解決。
消費者?そもそも風評被害起こすほど流通してないじゃん。大丈夫。普通に出回りゃ普通に食うって。旨いんだし。
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「そもそも風評被害起こすほど流通してないじゃん」とは何様のつもりだと思った。
福島産魚介類は大して流通していないから消費者が心配することはないと言うのだろうが、「風評被害を被るのは生産者であって消費者ではない」ことも分かっていないのか。
「流通してないじゃん」という言葉が「今まで流通してこなかったし、これからも大して流通しないだろう」という意味なら、それこそがまさに「風評被害の結果」そのものではないか。
漁業関係者が今までどんな思いをしてきたと思っているのだろうか。竜田一人は原発で働いてきたのに、敷地外で起きた事は何も見ていなかったのか。
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