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2020年03月14日21:05

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鉄の雨がどう降るのか考えた

意外と簡単な計算で推定できたので書いてみることにした。

■ガス惑星に「鉄の雨」?=390光年先―国際チーム
(時事通信社 - 03月12日 01:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=6005606

この記事だけでは詳しい事がわからないが、

VAIENCE
夜に鉄の雨が降る悪夢のような星、地球から640光年先にある『WASP-76b』
https://vaience.com/space/20200313-astronomers-observe-a-nightmarish-exoplanet-so-hot-that-it-rains-iron-at-night/

にもっと詳しい説明があった。以下の計算はこの記事に基づく。

ガス惑星WASP-76bは主星から500万劼竜離にあり、潮汐ロック状態になっている。昼側の表面温度は2400℃、夜側は1500℃。昼夜の温度差による風で、昼側で蒸発した鉄が夜側で凝結し、鉄の雨を降らせると予想されていた。今回、それが分光観測によって実証されたという記事である。

SFファンとしては「この惑星に行ったらどんな光景が見えるか」に、まず関心が向く。
記事には想像図も載っているが、実際にこのように見えるのだろうか。
フォト

Credit:ESO/M. Kornmesser
https://vaience.com/space/20200313-astronomers-observe-a-nightmarish-exoplanet-so-hot-that-it-rains-iron-at-night/

フォト

Credit:Frederik Peeters
https://vaience.com/space/20200313-astronomers-observe-a-nightmarish-exoplanet-so-hot-that-it-rains-iron-at-night/

まず、鉄の融点は1500℃くらい(1811K)である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/

つまり融点は夜側の気温とほぼ同じになる。だから夜側で鉄が液体になるわけだが、これは溶鉱炉の中のような環境であり、ということは鉄の雨粒は灼熱して輝いているだろう。雨というより火花が降ってくるように見えそうだ。
しかし降り方はどうなるのだろうか。これは大気や鉄の雨粒のサイズによって変わるはずで、記事だけではどうなっているのかよく分からない。
これを自分の知識で厳密に考えるのは無理なので、とりあえず分からないところは地球と同じと仮定しておく。
つまり雨粒のサイズは地球の雨と同じとして考えることにする。

記事からリンクされている

Exoplanet Catalog
WASP-76 b
https://exoplanets.nasa.gov/exoplanet-catalog/1833/wasp-76-b/
では、
MASS : 0.92 Jupiters
PLANET RADIUS : 1.83 x Jupiter
となっている。

すなわち、WASP-76bの質量は木星の0.92倍で半径は同1.83倍。すると表面重力は木星の0.28培になる。
木星の表面重力加速度は24.79m/s^2
https://ja.wikipedia.org/wiki/木星
なので、約0.7g。地球の表面重力よりも小さくなるわけだ。
実際に雨が降るのが大気の表面からどのくらいの深さになるのかも分からないが、これも一応、惑星の「表面」は推定されている惑星半径と同じとしておこう。
そうすると雨粒の落下速度はどうなるか。
小倉義光『一般気象学』P86-87によると、代表的雨粒は半径2个如⊇端速度は直径5个了に10m/sである。

終端速度の計算は同P88にある。

粘性流体から受ける物体の抵抗=6πηrv
(η=流体の粘性係数、r=雨滴の半径、v=速度)
終端速度をVとすると、
mg=6πηrV
雨滴が球形なら
m=(4/3)πρr^3
(ρ=水の密度.ただし今回の計算では鉄の密度になる)
なので、終端速度の式は
V=(2/9)ρr^2g/η
となる。

すなわち終端速度は雨粒の密度と重力加速度に比例し、大気の粘性係数ηに反比例する。
WASP-76b大気の粘性係数は分からないので、とりあえず計算に入れないことにすると、鉄の密度は約7なのでρ≒7、g≒0.7となる。
他の条件が地球と同じという仮定により、Vは7×0.7=4.9に比例する。
よって終端速度はだいたい10m/s×4.9で、約50m/sとなる。

大気の性質が分からないので、以上はいい加減な議論だが、地球の雨より5倍くらい激しい降り方になるといえそうだ。散弾くらいある融けた金属粒子が秒速50m、すなわち時速180劼嚢澆辰討る。

なお、このような「雨」に打たれることがいかなる経験になるのかを想像したい人には、レオポルド・ルゴーネスの「火の雨」(国書刊行会・バベルの図書館『塩の像』収録)をお勧めしたい。

あと一つ疑問があった。「雨雲」はどう見えるのだろうか。
地球の雲とは全く違うものになるだろう。雲は雨粒の集団である。雨粒が灼熱しているのだから雲そのものが光り輝いているはずで、地球のような黒い雨雲にはならない。

この点で、一枚目の想像図とは全然違った光景になると思う。二枚目の想像図の方が実際に近いのではないだろうか。

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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年03月14日 22:32
    散弾銃云々と書いた部分に計算間違いがあったので、とりあえず削除した。計算し直してもいいのだが、余談なのでカットしても特に問題ない。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年03月15日 17:06
    この記事ですねるんるん
    時速180キロで鉄の粒子が降ってくる(((^^;)
    降ってきた鉄はまた昼側に回っていくのかな〜?
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年03月16日 09:41
    根本的な疑問なのですが、
    MASS : 0.92 Jupiters  
    PLANET RADIUS : 1.83 x Jupiter

    半径が木星の1.83倍、しかし質量が木星の0.92で鉄の雨が降る程
    (おそらく地表面に…)鉄が豊富にあるというのはどういう仕組み
    なんですかね?考えてる顔う〜〜む、
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年03月16日 09:45
    >このような「雨」に打たれることがいかなる経験になるのかを想像したい人
    水平方向に近いですが、バルカン砲(20mmガトリング砲)に撃たれた戦闘機ですね。げっそり
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年03月16日 23:27
    > mixiユーザー 
    よく分からなかったので考えてみました。
    この惑星はガス惑星なので、大気の下層は非常に強い温室効果があると思われます。昼半球2400℃、夜半球1500℃は大気の表層の温度で、下層はずっと高くなっているでしょう。そうすると鉄の雨は大気中を落ちていくうちにさらに加熱されるはずなので、固体にはならず液体のままでしょう。
    そこで大気の底には液体になった鉄の対流がある。鉄の海流です。それが大気と同様に昼夜間対流で昼側に運ばれ、また熱せられ蒸発して鉄の雲を作る、という循環になっているのではないかと推測しました。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年03月16日 23:46
    > mixiユーザー 
    木星の平均密度は1.3。この惑星は半径が木星の1.83培なので体積6.13培、質量が木星の0.92培だから密度は0.15倍になって、密度約0.2です。ガス惑星としても非常に密度が低いですね。岩石のコアが小さいのと、たぶん高熱で大気が膨張しているので密度が低いんでしょう。
    太陽系には冷たい木星型惑星しかないので、WASP-76bの密度が常識外れに小さいように思えるだけで、大気の膨張を考慮するとホットジュピターでは、惑星大気に比べてコアの割合が小さいのが普通なのかもしれません。
    系外惑星の密度を組織的に調べたことがないので推測にすぎませんが、既存の系外惑星データからその種の見当がつけられそうな気がします。
    そして、いくら密度が低いといっても、固体のコアを芯にしなければ惑星は原始惑星円盤から凝縮できないので、この惑星にもコアは必ずあるわけです。
    この惑星ほどではないが、太陽系で一番密度が低い土星は、鉄やニッケル、シリコンと酸素が化合した岩石のコアがあると考えられているので、WASP-76bのコアにも鉄は含まれているでしょう。
    そして大気の底が強い温室効果で加熱されているなら、コアかマントルを作っている鉄の海が昼側で蒸発していて、ちょうど地球の熱帯の海のような感じになってるのではないかと思います。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年03月17日 00:26
    > mixiユーザー 
    バルカン砲の弾丸は20弌102个任垢。鉄の雨はどのくらいの粒径になるか、考える手掛かりがなくてさっぱり分からないですねえ。
    普通の雨は落下するうちにくっつきあって成長していきますが、融けた鉄はどうなるのかなあ。
    粒径が大きな雨滴は抵抗が大きくなるので落下が遅くなり、小さな雨滴が追いつくという併合過程によって成長する、しかしあまり大きくなると表面張力の影響が小さくなって分裂する。で雨滴の大きさには限界があって、直径8个上限らしいです。
    しかし鉄の表面張力は水に比べてどのくらいになるんでしょう。考えた事もなかったなあ。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年03月18日 07:11
    > mixiユーザー おはようございますびっくりマーク(アニメ)晴れぴかぴか(新しい)ぴかぴか(新しい)
    昨日カレーが食べたくなって、明日もまたカレーが食べたいと思ったので、何でこんなにカレーが食べたいんだろうと調べたら「具合が悪くなるのかも」なんて書いてあって早く寝てしまいました(((^^;)
    回答ありがとうございまするんるん鉄の雨、循環してまた降っていくんですねー(長音記号1)たらーっ(汗)主星から500万キロの位置らしいですけど、いつか蒸発しちゃいそう(><)
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2020年03月19日 00:01
    > mixiユーザー 
    この惑星は実際蒸発しつつあるんでしょうね。長い間には大気が全部なくなって水星のような固体のコアだけ残るかも。
    でも恒星が太陽より明るい星なので、たぶん赤色巨星になって惑星を飲み込んで溶かす方が先でしょうね。
    つまりどちらにしても蒸発することになるわけですね。

mixiユーザー

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