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2015年01月05日00:16

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地球の未来をおおざっぱに計算してみた

 大昔のブルーバックスに、E・シュミット/D・ボダンスキー『原子力への挑戦』(翻訳1978年)というのがある。
 この本の付録「地球の温度上昇の計算」(266頁)に強い印象を受けて、自分でも計算してみたことがある。以下はその結果をアップトゥデートしたものである。

(なお、この本は福島原発やチェルノブイリどころかスリーマイル島の事故すら起きていない時期に出版されたので、今読むとしたら、かなり注意が必要になる。たとえば283頁には、緊急炉心冷却装置が機能しない場合でも「危険が非常に増大するということはない」と書いてあるが、今日この意見に賛成する日本人はたぶん一人もいないと思う)


さて、問題の計算である。

 地球の表面温度をT(単位絶対温度K)、地球の放射する熱(これは地球に入射する太陽エネルギーと等しい)をPとすると、シュテファン・ボルツマンの法則から、

P=σT^4

である。σはシュテファン・ボルツマン定数だが、計算結果には出てこないので気にする必要はない。
ここで、人類の活動によって地球の受けるエネルギーがわずかに増加したとする。上の式でPはTの関数なので、PをTで微分することができて、

dP/dT=4σT^3

となる。dPは人類の消費するエネルギー、dTはそれによる温度上昇を意味している。
 dP/dTは、地球の温度上昇による受容エネルギーの増加率になる。(時間で微分しているのではないことに注意)
 ここで、分母を移項してPで割ると、

dP/P=4σT^3dT/σT^4=4dT/T

よって、

dT=(dP/P)・(T/4)

となる。

 最後の式によって、人類の活動の結果として地球の温度がどの程度上昇するのかが求められる。こういう複雑な問題がこんな簡単な計算で求められるというのは驚きだった。これは計算してみたくもなるというものだ。

 では、式に具体的な数値を入れてみよう。


2011年の世界全体の一次エネルギー消費量 過去最大に(BP統計)(Adobe PDF)
eneken.ieej.or.jp/data/4421.pdf

によると、2011年の全世界のエネルギー消費量は12.3Gtoe(Gtoeは石油換算10億トン=8.6×10^7メガワット時)なので、1.06×10^15ワット時になる。簡単にするためちょうど10^15ワット時としよう。よって、

dP=10^15 [Wh]

となる。一方、地球が太陽から受けているエネルギー(正確には仕事率)は、太陽定数と地球の断面積から、

1.37×10^3 [W/]×π×(6.38×10^6)^2 []=1.75×10^17 ワット

と求められる。なお、

Wikopedia「地球のエネルギー収支」http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%8F%8E%E6%94%AF 

だと1.74×10^17ワットとなる。まあほとんど同じということだ。
 ただし地球のアルベドが0.3なので、(1-0.3)をかけて、1.23×10^17ワットが正味の受容エネルギー(率)となる。ただし計算するためには、dPとPの単位を揃えなければならない。
 太陽定数の単位はワット毎平方メートルだが、エネルギーの単位で表すとどうなるか。
 1ワット=ジュール/秒なので
 太陽定数=1.37×10^3 [J・m^-2・s^-1]

で結局、地球に吸収される太陽エネルギーは毎秒1.23×10^17ジュールということになる。これを使うには、世界のエネルギー消費がワット時だから、単位を揃えるために1.23×10^17に3600をかける。

よって、dP=10^15 [Wh]、P =4.43×10^20 [Wh]となる。
T=地球の平均気温として、約300Kとすると、

dT=(10^15/4.43×10^20)・(300/4)
  =1.695×10^-4
  ≒0.0002 [K]

 この計算には温室効果のメカニズムは含まれていない。つまり温室効果がなければ、現在の経済活動程度では地球の温度は全く変化しない。まあ当然の結果だと思う。

 では、地球に影響を与えるほどのエネルギー消費とはどのくらいになるのか。


 これは以下の山賀進氏のサイトにヒントがある。

6 地球の環境 6・3 地球の温度
http://www.s-yamaga.jp/kankyo/kankyo-kankyo-3-1.htm

 それによると、太陽放射が10パーセント上昇すると暴走温室効果が始まり、地球は金星と同じ環境になるという。

「いくら人間が無限の、しかもクリーンなエネルギー源を開発しても、それを地球で使えば最終的には熱になる。熱暴走を起こさないためには、太陽エネルギーの10%以下に抑えなくてはならないこともわかる。」(上記サイト)

 したがって、dP/P=0.1がエネルギー消費の上限になる。この時の温度上昇は、

dT=0.1×300/4
  =7.5度

 わずか7度半の温度上昇が限界点になっている!

 もちろんこれは極端に単純化した計算なので、現実は同じ結果にはならないとは思う。思うが、参考値として頭に置くくらいの意味はあるだろう。

 なお、シュテファン・ボルツマンの法則を直接使っても同じ結果が出るかどうか一応確かめてみた。

 P∝T^4 だから T∝P^(1/4)であり、Pが1.1倍になれば、Tは1.02倍になる。
 300Kの1.02倍は306K。6度と7度半だから、これだけ荒っぽい計算なら結果が一致していると言っても差し支えないだろう。

 そこで次に、これだけのエネルギーを消費する経済活動はどの程度のレベルなのかを考えてみよう。実際には、リンク先に「こんなに使う前に地球の環境は完全に破壊されるであろう」とあるとおり、限界ははるか手前にあるはずだが、ここでは単純化するために、今までの結果をそのまま使うことにする。

 しかしまあ、温室効果が計算に入っていないモデルで暴走温室効果に達する条件を求めるというのだから矛盾していると言えばそのとおり、この計算は極度に単純化したモデルであって、第0次近似という程度だろう。だから結果を真面目に受け取る必要はない。でもともかく計算を進めてみよう。

 温室効果が計算に入っていないということは、エネルギー問題が完全に解決した社会を想定していることになる。エネルギーが無制限に得られ、食糧問題も環境問題もなく、経済成長を妨げる要因は何もない、とする。このユートピアはいつまで続くのか。

 まず、現在の世界人口を7×10^9人とする。

世界の人口と一次エネルギー消費量(2009年現在)
https://eneco.jaero.or.jp/important/world/world01.html

によると、世界人口の5パーセントがアメリカ人で、エネルギーの消費量は全体の18パーセントとなっている。なお日本の人口は世界の2パーセントで、エネルギー消費は4パーセント。つまり日本人は一人当たり世界平均の2倍のエネルギーを消費している。アメリカ人は3.6倍。
 豊かな社会では平均エネルギー消費量も増大し続けるだろうが、そこまで考慮すると計算が大変になりそうなので、単純化して一人当たりのエネルギー消費量は一定とする。豊かな社会の代表といえばやはりアメリカだろうから、現在の一人当たり平均エネルギー消費量の4倍を基準にしよう。
 つまり70億人あたりの消費エネルギーを4×10^15 [Wh]とする。

 これでPmax=0.1Pを割ると
 Pmax /(4×10^15)=(4.43×10^19) /(4×10^15)=1.11×10^4
 この状態の時の総人口は、これに7×10^9をかけて、7.77×10^13 [人]と出る。

 約78兆人。相当な数だ。これだけの人数が地球上に住める場所があるかどうかの問題はとりあえず措いておこう。トランターかコルサントのように惑星全体を都市にするなり、ブライアン・ステイブルフォード「タルタロスの世界」のように地球全体を覆う第二の地表を作るなり、いくらでもやりようはあるだろう。この想定ではエネルギー供給は無制限ということになっているからだ。

 これは現在の世界人口の1万倍を超えるが、この人口に達するのはどのくらい先のことになるか。

 ロジスティック方程式を解けば、人口増加を与える式

 n=n0×exp^(γt)

が得られる。(n0=最初の人口、γ=年間の増加率、t=年)
 これは微分方程式の応用によく出てくる式だ。

これをtについて解くと、

t=ln (n/n0)/γ

となる。

国の人口増加率順リスト
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E3%81%AE%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E5%A2%97%E5%8A%A0%E7%8E%87%E9%A0%86%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88

によると、世界人口の年平均増加率は1.18パーセント。

 そこで増加率を年1.2パーセントとしよう。30年くらい前と比較すると増加率はかなり下がってきている。1980年頃から2000年頃までに人口は約20億人増えていて、年平均にすると1.5パーセントくらいだった。

http://www.s-yamaga.jp/kankyo/kankyo-jinko-1-1.htm

しかし経済成長のために人口増加を奨励する社会が現に目の前にあるわけだから、エネルギー問題が解決したとすれば、人口が増えないと経済成長もないという理屈によって世界人口は増加し続けるだろう。増加率自体が上昇すると考えるのが自然だと思うが、一応現在の年率1.2パーセントを維持すると仮定しておく。
γ=0.012とおくと、

t=ln (7.8×10^13/7×10^9)/0.012
=776.25年

という結果になる。

 つまり経済成長の限界はだいたい800年くらいとなる。現在の世界が抱えている問題が全て解決したという最大限楽観的な仮定をおいても、経済成長を続ける社会には2800年頃に限界が来る。
 この計算に最も影響するのは人口増加率で、これ次第で結果は大きく変化する。増加率がもう少し大きく、年1.5パーセントになれば限界は621年後となる。年2パーセントなら465年後、2480年頃にジ・エンドだ。

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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2015年01月08日 05:46
    む、難しい・・・ふらふら

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