代理店の営業をやってた頃、競走馬育成牧場に仕事で訪問したことがありました。
商談そのものは成立しなかったのですが、忘れられない営業のひとつです。
これから書くことは、読む人をガッカリさせる内容かもしれません。
「そんなの、競走馬を育ててるんなら当たり前だよ」
と言われそうだからです。
でも、書きますね。いつもこのパターンで書いてますんで。
競走馬の育成をやってますから、当然、何頭かの馬がいます。これも当たり前です。
営業ですから、そこの牧場主の方と商談ということで、その自宅のリビングに
通されました。
牧場主は多忙ですから、そのリビングで待ってたわけです。
いや、驚きました。
まず、リビングに入る時の暖簾、これに馬の絵が描いてあるんですね。
まあ、当然ですよね。馬が好きでなきゃ、競走馬を育てるなんてできませんから。
で、ソファに坐らせてもらったら、今度は、テーブルに馬の絵です。
まあ、馬が好きな人の家ですからね。
で、テーブルクロス、ここには馬の刺繍がほどこしてありました。
まあ、馬が大好きでなきゃ、ここまで徹底できませんよね。
そして、ふと飾り棚を見たら、まず、棚の上には、馬の置物です。
そしてコーヒーカップ、ここにも馬の絵、そして棚の中に並んでいる百科事典
のような分厚い本は、「競走馬年鑑」とかいう、一般の人では、読まない書籍。
うわぁ、凄いなあ、なんて思いながら、部屋を見回すと、
カーテンが馬の絵で埋められ、ソファのクッションも馬の絵でした。
壁ですか? 壁にはもちろん、馬の絵です。
で、結局、商談は成立せず、帰ることになったんですが、何かくれるのかなと。
僕はそんなに、馬に興味なんてないですから、馬のキーホルダーなんて、欲しく
はない。と思ってたら、なんと、牧場主は、大変なプロレスファンで、
意外にも、ジャイアント馬場さんのサイン色紙をくれたんですね。
「へへへへへー。いくら馬好きでも、客にくれる記念品?のようなものまで
馬というわけにはいかなかったな」
と、僕は内心勝ち誇ったのですが、考えが甘かったです。
ジャイアント馬場さんの名前にも、しっかり「馬」の字がありますからね。
もちろん、最後の、ジャイアント馬場さんの話は、冗談ですよ。
そんな下らないオヤジギャグですらない、しょうもないギャグしか出なくなる
くらい、馬づくしの牧場でした。
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