うどんの旅

他地方から福岡に移り住んだ僕が
しばしば福岡県民を揶揄する時に
こういった文面を読んだ時に感じる感情が非常に大きい

そもそも
福岡三大うどん、だなんて
福岡県民以外誰もピンと来ないのである
それはそれで結構だが、福岡県民は５００万人強。
全国の９５％以上が「ピンと来ない」話である、という前提が足りない。

そもそも福岡県は県土が広大でね文化圏というか
都市圏が概ね４つに分けられる。

北九州市などの県北。
田川市・飯塚市などの筑豊。
そして福岡市内の福博。
そして有明海に面した地域の久留米市などの筑後。

この４地域に強引に大別する事が出来るのだ。
そして、それぞれにご当地感というか
ご当地文化があって、それぞれが他地域と一緒に扱われる事を嫌う。
嫌うのは仕方ない。県土が広大だからである。
筑豊地域にとっては海は南側。
田川・飯塚から見ると東側。
そして、北九州や福岡市から見ると北側に展開しているのだから
然もありなん、と言ったところである。
山側と海側がそれだけ違うのであるから
気候も天気もバラバラである

久留米市が豪雨で洪水状態で浸水していても
その他の地域ではどこ吹く風。
逆に朝倉地区（上記では福博に入れられるが、ほぼ筑豊地区との境目）で
大水害が発生しても、福博地区では水不足に苦しむと言った
目に見えた県内ギャップがあるのである。

しかし、それらを認識していながら
「あっても存在していないが如くに色々と論じる」連中が
多数あるのが僕をムカつかせる(笑)というか、
だから揉めるんだよ、と指摘したい。

少し前に「コロナ第２波か？」と騒ぎになって
全国的にニュースになった北九州市は
関門海峡の門司側であるから限りなく九州北部で
筑後の久留米とは別の「クニ」である。
それどころか新幹線で１５分も西に行かないと博多には着かないのである

こんな具合であるから、普通の県の感覚で言えば
精々、「県北と県南では流石に違うさぁ」とか
「西部と東部では文化も味も違う」程度の差が
福岡県の場合だと４つに分かれている、
と言い切ってもほぼ差し支えないのである。

それに、多くの国民が認知していないと思うが
「福岡」と「博多」は重複した意味を持ちながら
言葉としては全く別のものである、という事を
理解していないのである。

今でこそ「福岡市」という括りで語られる事に
アレルギーは低下していると思われるが
福岡というのは豊臣秀吉が駐留させた黒田長政による福岡藩が
元であり、古くからある「博多」の街を重んじる人たちからすると
乗り込んで来た為政者である「侍の街」を意味していて
正式名称としては認めているが愛称としては使われていない

そこは区別されている。
「ご出身は？」と訊かれると
福岡市の人は大抵、「博多です」と答えるのだ
なので、広域の福岡市圏を指す言葉として「博多」は存在する。
しかし、当の「博多っ子」からすると
厳密には博多港が展開し、新幹線の駅がある「博多区」と
福岡城などがありる繁華街の中心である天神地区より西側にある地域を
一緒くたにされると気分を害するのである。

現に、黒田氏由来の地や、秀吉軍の駐留地など
沢山の史跡が博多区を含む福岡市内に存在するが
藩祖の黒田長政の銅像は一体も飾られておらず
彼らを祀る事をしないのだ。
となると
北九州発祥のうどん、と糸島あたりに本店があるうどんと
筑後うどんが同じ路線上にあるとは
考えられないし、実際には似て異なる存在であることは
僕でなくても指摘できる。
大きく違うのである。

だからこそ、バラエティに富んでおり
食べ歩きも楽しいというものなのだが
彼らが「ソウルフード」などと呼んでいる「うどん」も
全国的にはほぼ知られていないと言っていい。
よりハイブリッドで洗練された
「稲庭うどん」や「讃岐うどん」
或いは、個性が強いその他ご当地うどんの方が
インパクトもあり、旨いからだ
しかしそれは博多のうどんが不味いと言っているのではない

ソウルフード、などというからには
「毎日食べても飽きない」くらいの
安定度というか、愛せる主食としての一面が強い、のである。
そこをフィーチャーして行かないと伝わるものも伝わらない
僕はそう思うのだ。

結局、福岡県民にだけ「受信」してもらえれば
それで良い、みたいな情報発信が横行しており
こんな事をしていてはいつまで経っても
その良さは伝わらないだろう
そして、本当はかなり閉鎖的で差別的、
しかし輪に入れば快適である、という福岡の特長も埋没していきつつあるのである。

■福岡の三大うどんチェーン店を大調査！地元民に愛される人気メニューやおすすめも
(じゃらんニュース - 06月29日 16:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=243&from=diary&id=6138307