王将戦第69期の七番勝負に注目していて
昨日は第4局を広瀬章人八段が制し
2勝2敗のタイに戻した
相手は現在の棋界のトップに君臨する渡辺明王将である
広瀬は前年度竜王なので
「前竜王」の称号者になる予定だったがこれを返上し
日本将棋連盟は返上が20年以上続くこの称号を廃止してしまった
といっても9期連続で渡辺明がタイトル防衛したため
前竜王を名乗ることが出来る機会が少なすぎたという事もある
しかし本棋戦に注目していたのは渡辺王将が
神がかり的に強かった昨年度から本年度初頭にかけてと比して
些か翳りが見えてきたのではないか、と感じていたからである
前年度後半は豊島将之竜王・名人以外にはほぼ負けないという
「豊島以外無双」状態で、注目に値する強さが目立ったところであった
現在の8大タイトルは
名人 豊島将之(29歳)
竜王 豊島将之
王将 渡辺 明(35歳)
棋聖 渡辺 明
棋王 渡辺 明
王座 永瀬拓矢(27歳)
叡王 永瀬拓矢
王位 木村一基(46歳)
という様相で昨年竜王位を失陥した羽生善治九段が
四半世紀ぶりに無冠となり「九段」を名乗るなど
世代交代を象徴するような出来事が起きていたのであるが
既に羽生世代は羽生の独壇場状態で
順位戦A級には辛うじて連盟会長の佐藤康光が残っている。
それに次ぐ世代として
昨年、悲願の初タイトルを獲得した木村一基の頑張りや
三浦弘行、久保利明九段らがタイトル戦線に留まっているものの
全盛期よりは大きく後退し
タイトル戦線含めて渡辺らの時代が到来しつつあった
のであるが
話題の藤井聡太七段の台頭、さらには
新設された叡王戦のタイトル獲得者たちなど
さらに新進気鋭の棋士たちが押し寄せてきていて
永瀬がまずそこに到達している状態である。
話は戻るが、近年の広瀬の充実ぶりは
特筆に値するものがあって
ズタズタに敵陣を切り裂く切り込みを
再三見せていて、一手違いで詰みが見えると
鮮やかな手を連発して逆転劇を放つので
対局は一瞬たりとも目が離せない
藤井聡太がかなり長手順の詰将棋を駆使するのと同じく
鮮やかな罪が魅力なのである。
オールマイティな強さの渡辺に
切り込み型の広瀬の王将戦での激突は
前年の「ミスター王将」振り飛車の第一人者・久保利明を
渡辺がスイープした劇的なタイトル交代劇の
意趣返しとなるか
そこが見どころの一つでもある
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