斉藤由貴がアイドルから脱皮していく過程で
音楽もどんどんとアーティスティックに走っていったわけだが
ついに89年発表のアルバム「age(アージュ)」では
シングル曲を含まないという暴挙に出た。
時同じくしてシングルチャートに
井上陽水の「夢の中へ」のカバーをリリースしており、
誰がどう考えてもそのアルバムに入っているであろう
「夢の中へ」は含まれていなかった。
これでアイドルとして斉藤の音楽を聴いていた人は
完全に離脱し、ボーカリストとしての斉藤を追う者のみの
密やかな楽しみとなってしまったのである。
これまでも彼女に楽曲を提供していた
崎谷健次郎が「age」も「夢の中へ」も
プロデュースし
彼がその当時試験的に取り組んでいたと思われる路線の
ハウス系のサウンドで構成されている。
もちろん、ミスマッチではあるが
余りにもクリアーで柔らかなボーカルの
斉藤由貴が作る新境地は
崎谷らしさが特に出てくるこの
「N'oublie pas Mai(5月を忘れないで)」に象徴される。
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