都内の主要な美術館で、再開が一番遅かった根津美術館。9月19日から「日本近世の水墨と白描 モノクロームの冒険」でリスタートしました。
隈研吾の設計は、庭園の中の美術館を強く意識したものではないでしょうか。
台風のコースが外れ、予想外のしっとりとした雨で庭の草木が潤っています。
根津美術館の魅力である、薄暗い館内から庭の緑が鮮やかです。
地味な企画展と日時指定予約でまばらな観客が好ましい。
企画展は、水墨画、銹絵、白描画で構成されています。
水墨画では、芦雪の「赤壁図屏風」は赤壁の戦いの長江に遊ぶ様子を描いています。
通常より大きなサイズの屏風で迫力があります。
「鷲鷹図屏風」は、黒白のコントラストが強い、曾我派らしい作品。作者は曾我宗庵。
今回の展示で一番のお気に入りは、「銹絵富士山図茶壺」です。
富士山とたなびく雲、右側に転じると松原、更に後ろに海原に漂う二艘。
釉薬の塗られていない壺の下部は、砂地のおもむき。
仁清の作と言う解説に驚きました。
根津美術館の魅力は、美術館の展示と同じくらい、魅力的な庭園にあります。
いわゆる日本庭園とは異なる、数寄者の趣味の庭ですね。
美術館に備え付けの傘をさして庭に出ました。
美術館の宝である「燕子花図屏風」に因んだ、杜若の池は、初夏の楽しみです。
今は静かに佇んでいます。
庭園の一角に、水琴窟をみつけました。
キンコンと高音で鳴る水琴が、雨音とつくるアンサンブル。
ワイシャツの袖が濡れているのも気付かず聞いていました。
雨の庭もなかなかいいものですね。
(展示作品の画像はネット借用)
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