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2020年04月06日15:15

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【森澄雄のことば】 高橋透水

森澄雄のつぶやき
芭蕉の近江(昭和五十年 世界文化社『奥の細道』)より
近江にひかれる心
「だが、近江にひかれたのは、正確にいうとそのシルクロードの旅の半ばから、
そしてまた単に近江というより、芭蕉の近江にひかれたといった方がよい。
自ら遺言して義仲寺の木曽塚の隣に骨を埋めた芭蕉は、見果てぬ夢を追って悲運に仆れたこの野生の武将が好きだったし、何よりもおのれの埋骨
の地としておだやかな近江の風光を愛したからであろう。」

「シルクロードの旅を歩きながら、しきりにこの芭蕉の一句
が想い出されていたのは、中央アジアと近江と、全く風土も
歴史も、その性格も規模もちがうが、そこにあるはるかなも
の、その悠久の思いであろう。この一句の、事実春を惜しん
でいるのは近江の人々とであり、またひろやかな湖水をもつ
近江の風土感を詠いこめながら、それらをはるかに超えて、
この一句のもつやさしさとなつかしさは、古来、春を愛し、
行く春を惜しんできた日本人の心の、これからもつづくはる
かな思いであろう。いわば、そうした日本文化の伝統がここ
にその総体としてあるからである。ぼくにはこの一句を詠っ
た芭蕉の時点に、過去の日本文化の総体がここに集約され、
また未来につづく文化の伝統がここに言いとめられている、
そんなはるかな思いがあった。」

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