「厚底シューズ」が、東京五輪では使用禁止になる見通し

　今、陸上選手から絶大な支持を集める「厚底シューズ」が、東京五輪では使用禁止になる見通しとのこと。理由としては、「好記録が出過ぎるから」ということがあるそうだ。
　私は、その判断には疑問を覚える。そもそも、スポーツの歴史は道具の進化の歴史と不可分だ。メーカーが、選手にとってよりよい製品を研究、開発することは止められないし、選手も、よい道具を使用することで、最大限の能力を発揮できる。
　道具があまりにもよいと、それを使える者と使えない者との間に、不公平が生じるとも言われているが、それを考慮し出したら切りがなかろう。その不公平を完全になくすのであれば、シューズから、ウエアから、全ての選手が指定された同一のものを使用しなければ、条件の公平性は保たれない。そして現状、そうなってはいないだろう。
　選手がよりよい記録を目指すのは本分であり、そのためによりよい道具を希求することも、必然と言えよう。道具の使用の可否については、その性能を基準にするのではなく、それを使用することで選手がより安全に競技が行えるかどうかを、判断の基準にした方がよいと思う。
　今回の「厚底シューズ」を禁止したところで、メーカーが同じ性能の「厚底ではないシューズ」を開発してくるのは、時間の問題である。そうであれば、今、「厚底シューズ」の使用を禁止することに、いったい何の意味があるというのだろうか。


https://www.tokyo-np.co.jp/article/sports/list/202001/CK2020012002100028.html