選手の安全のために万全を期したい

　来年の東京五輪開催に向けて、不安になる報道が連日のように続いている。競技場の暑さの問題や交通問題に加え、海の水質の問題まで浮上してきた。
　そもそも、誘致の段階のコースや競技場の選定の際に、選手の目線からの検証があまりにも不足していたのではないか。選手の安全よりも、東京が世界にPRしたい観光地や競技場を、いかに世界に発信するかにばかり意識が向いていたのではなかったか。そこには、何か大きな利権が絡んでいなかったのか。
　五輪本番となれば、選手は文字通り死力を尽くすだろう。過酷な条件下で、何が起こるかはわからない。ことによれば、東京五輪がその後の五輪の存続の意義や開催の在り方を問われる、暗い歴史になってしまうのではないか。
　東京には、広い地下街や屋根付きの競技場も多数ある。それらを競技場として活用できないのか。または、ビルの間に臨時的に遮光パネルを設置して街全体を屋根付きにするなどの対策もあろう。
　時間は限られている。選手の安全のために万全を期したい。


https://www.tokyo-np.co.jp/article/sports/list/201908/CK2019081702000266.html