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2019年09月18日18:19

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秀山祭九月大歌舞伎 夜の部

「秀山祭九月大歌舞伎 夜の部」

行ってきましたー

夜中に台風が直撃し、すごい音と揺れで眠れない丑三つ時以降約2時間。
休日だったので、昼近くまで眠って、夜の部へ。
電車のダイヤは乱れたままの午後。台風一過でとても暑い。

役者の皆さんはベストな状態ではなかろうなあ、と自分を振り返っても思いながら、
お弁当を買って、賑わいの中、座席に向かう。
1階9列6番。花道横。外側。ドブ席と言われているところ。
同列に人が座っていても、前をすり抜けていける広さ。
しかもこの9列目、前の席からぐっと上がっており、視界良好。
納涼歌舞伎の真ん中よりも広く感じられ、1等席を満喫できました。


「菅原伝授手習鑑 寺子屋」4:30−5:56

寺子屋のセット。子供に混じって子供役の大人がおる。
涎くり与太郎。上方言葉。中村鷹之資さん。
この方がとってもよかった。
はしゃぎすぎずなんとなくコミカルで、自然に笑いを起こして、
こちらも構えずに、すっと話に入れました。
花道から現れるは、思案顔の寺子屋主人源蔵(幸四郎)。
わー、近い。
寺子屋の子供達を一人一人見定めるシーン、怖いとこだけど、
涎くり与太郎、やっぱり面白い。
でもって、花道を去って行く、親と子供を見送っていると笑顔になります。
首実検あたりからは重厚。
でもなんだろか、源蔵と戸波(児太郎)に、それほど切迫感を感じず。
ただただ松王丸(吉右衛門)の迫力に釘付け。
身代わりの子供を差し出した千代(菊之助)の母っぷりもよかった。
白装束で弔う場面では本当に火が焚かれ焼香をしている。
ご焼香のいい匂いがする。
松王丸が妻の千代に泣くなと言い、源蔵に
「うちの息子のさいごはやっぱり泣いたりみっともないことだったでしょうな」
みたいなことを何気に聞くと
「立派に笑っていた」
と源蔵は言う。
「何? 笑って」
というあたりから泣ける。
松王丸は、菅丞相の子供を救うために自分の子供の首を身代わりにして
名誉なことだという態度なんですが、この辺りで親としての情が溢れる。
あと、自分の兄弟たちの、守るべき者は同じでありながら違う道を進んでいる状況も語る。
歌舞伎言葉が聞き取れるわけではないのですが、
吉右衛門さんのセリフは、非常に伝わりやすい。
笑いあり涙ありの見応えたっぷりな芝居でした。

幕間 30分
座席でいただくお弁当。うーん、美味しい。
木挽町広場で購入した地雷也のお弁当。
お腹いっぱいになると寝てしまいそうで怖いので、
天むすは少し残して持ち帰りました。
食事の後は筋書き売り場で写真付きの筋書きの郵送手配をしました。
郵送料360円。
花道は、花道の上にまた板を乗せてました。滑りを確認するスタッフ。
少しドキドキする。


「歌舞伎十八番の内 勧進帳」6:23−7:39

仁左衛門弁慶、孝太郎義経、幸四郎富樫。
松羽目物というらしい。
背景は松。その前に地方の方々が2列でずらっと。
下手の水引のように結ばれた赤い縄の入り口から富樫。
幕間30分で、すっかり違う人になっている幸四郎さんに驚く。
花道から、義経、家来4人。そして、弁慶が!
キッ、とした強い表情。目の前にしゃがんでる。義経が喋ってる。
ドブ席なので、後ろ側。
弁慶の足の裏や、脚絆、山伏のふわふわボンボンが息に合わせて動く様を見てました。
右足を立て、左足は体の真ん中、動きません。
弁慶が立ち上がり、全体を確かめるように、睨め回し、
目線下の客席は、道端に咲く雑草かお地蔵さんのように見るのです。
勧進帳は、裏が白っぽく、表が黒。
表を見ようとする冨樫と、逃げる弁慶の、そろいの踏み出し。かっこえー。
富樫側が、義経じゃないかと疑うあたりが、いまいちわかりづらかったです。
敵、って感じがしなかった。
弁慶が義経を打つところも強いものではなかった。
以前も書きましたが、
この後、関所超えがかない、富樫が上手に去るのを見送った後の弁慶。
杖の後ろをコトンと落として、肩をがっくり落とす様。
泣ける。
その後の義経や、家来たちの慰めというか、感謝の言葉も耳に入らないほど、
主君を打つ行為をしなければいけなかった自分に対する無念感がすごい。
孝太郎さんの義経は、守られるべき高貴さがありました。
さて、その後富樫一行が酒を勧めてくれるのですが、
その時に、椅子に座った瞬間、弁慶は大きく息を吐く。
演技なのか、体力的にこたえていたのか。
口元に結んでいる紐が大きく揺れました。
座っている時のふわふわボンボンの揺れに合わせて息をしてみたのですが、
相当早い息遣いでした。
その後は、こちらも気が緩む酒のやりとりの面白い様と踊り。
義経と家来を先に行かせて、冨樫に見送られ、幕が引かれる。
花道には1人残った弁慶。
富樫や天に礼をする。らしいけど、後ろからだからよくわからなかった。
その後、揚幕の方を見据え、ゆっくりと、気持ちを整えるかのよう。
飛び六方に至るのは6列目くらいから。
私の席からめっちゃ近い。
汗だくの顔。
右手の指3本を曲げて、型を作って、一歩目はゆっくり、
その後飛んで揚幕の向こうに、義経一行の元に行きました。

幕間 10分
席でぼーっとする。
後ろのカップルはここで帰った。
花道の上の花道は下げられ、今度は白い布が引かれる。


「秀山十種の内 松浦の太鼓」7:46−9:02

雪景色。ハラハラと雪が舞っている。
花道からは、俳人の其角(東蔵)。覆いをつけた下駄に雪が積もっている。
暑い日だったので、なんだかホッとする風景。
笹売りの貧乏ななりの男が顔見知りらしく、
立てかけてある床几を出して座って話。句を読んで別れる。
その一幕の後の、花道は井草。いい匂いがする。
松浦さまの座敷へと続く廊下。
舞台は、すーっと横にだだっ広い部屋で、大きなお屋敷だなあ、と思わせる。
松浦さまと俳句を嗜み、其角や家来たちがおべんちゃらを言い、
松浦さま上機嫌、って呑気な雰囲気が楽しい場面です。
家来たちの一番上手に歌昇さん。顔が小さく整っており目立ちますな。
しかも声がいい。なんと通る声か。
おそらく、根は明るく、真面目で、
面白いところが多分にあるであろう感じが溢れていて、いいなあ。
この話は、ダメ殿様チックな松浦さまの感じと、
意外にちゃんと教養も頭もあるところが面白い。
米吉さんのお縫ちゃんがまた美しい。
花道に少し出て来たのでガン見しました。
顔も小さく、可憐で儚げで可愛いですなー。
最後の幕で馬に乗ってる松浦さまが、笑える。
皆に黙って討ち入りに行った源吾(又五郎)、
なぜ黙って行ったのかと責める妹のお縫(米吉)。
「女子供にそのような大事を話せるか」
お縫の切ない表情よ。
討ち入りの様子を意気揚々と話す源吾はかっこいいけど、
聞き入るみんながなんかコミカル。
源吾とお縫はシリアスなんだけど、他はのんびりドタバタ喜劇な面白さ。
笑って終わりました。


感想が長っ!
勧進帳は、思い返すと、初めから終わりまで、ずーっと色々思い出すので、
キリがない。
どれも面白く、いい番組でした。
歌舞伎座の大歌舞伎は、落語でいう寄席のようで、
お目当だけじゃなく、流れや、単独では見ないものを見ることができ、
そこから広がっていくのがとっても楽しい。

あ、ちなみに13日以降、「寺子屋」が3分短くなっております。

そんな訳で、勧進帳、めっちゃ良かった。
座席の都合上、全体が見れなかったため、
また行くことにしました!
初千秋楽! わほほーい。


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