アニメ話・虚構推理／ドロヘドロ／波よ聞いてくれ

●虚構推理・最終話。やってることはネットバトルでの牽強付会合戦なんだけど、解決して妖怪たちにわっしょいしてもらったので何となく大団円っぽくなってんのが可笑しい。最後の最後に九郎先輩がサラリとかっちょいいこと言うておひいさまを赤面させてんのもエエ話っぽいよな。風呂上がりにぶるぶるしてしずくまき散らしたり九郎先輩へバナナちんちんネタで労いの言葉掛けたりする人なんだけどな。

終わってみれば何となく合理的な解釈もオカルトなネタもいけそうな様相になった七瀬事件だけど、その中で寺田さんの死だけが現実と虚構のほころびが具現化したみたいな感じになっちゃっている。何というか、余裕のある解釈を許さない楔というかね。その辺も含めて、あまり他の作品では見ない風合いの作品になってるなあ。

●総評。事実は割とどうでもよくて、複雑な外見の様相をいかにそれらしく解題するかが重要という、なかなかひねくれた構造のお話。虚構に言葉でカタチを与えてやればそれが力と実在を持つというのはアリネタなんだけど、現実性と虚構性のバランスの具合が割と独特で面白い。その上でまあおひいさまのキャラよね。お人形みたいなちんまりした美少女だけど言葉と屁理屈に寄って立つ「知恵の神」の役を持ち、かつ下ネタの品が無い。…この最後の要素って必要ですかね？　うん必要だな。

この通り楽しんだんだけど、でもやっぱエピソードのウェイトはちょっと歪ではあったと思う。鋼人七瀬パートがとにかく長い。だらだらしてるとは言わんけど、もうちょっと刈り込んだ上で他の単発話も見てみたかった気はする。聞けば原作小説はもともとこの七瀬話だけで、他のは追加エピソードということらしいから…まあしょうがないっちゃそうなんだけど。

ともあれ、連作の利くフォーマットだと思うので、2期あれば見てみたいと思います。おひいさまのキャラにまた会いたいってのも大きいですけどね。

●ドロヘドロ・最終話。あちこちとカイマンの出生に関する謎をちりばめつつ、でも彼の立ち位置的には何も判明しない。すべては混沌の中、これがドロヘドロ…だけど、まあこの作品見てる理由に謎はあんまり寄与してないからな、個人的に。雨降って地固まるとはちょっと違うが、殺し合いやったあとに友達の指切りをするカイマンとニカイドウの妙な純情さが面白い。そうねえ、死と血と暴力がすぐ隣にある世界なんだけど、そういう精神性はなんか少年っぽいんだよな。そのアンバランスさがドロヘドロ。…このフレーズ便利だな。あと鳥太はお前…ガキみたいななクズ気質してんな！　

●総評。まあお話は終わってないのでそういう視点に於いてはあまり評価もし辛いが、この作品の主眼がその辺に…まあ無いこたないにせよ、魅力的な部分の多くはこの世界の様相そのものだからねえ。「異世界」なんて手あかのついた言葉でも表現できるが、ここまで作者の趣味嗜好がガッツリ出てるのはアニメ主導では出てこないところだろうな。薄暗くてススけたディストピアっぽいのに、魔法学校だの高級レストランだの公共サービスだのがフツーにある世界観は割と代替がきかない。映像研の町／学校をクロールするゲームやりたいなという感想書いたけど、こっちの世界もオープンワールドで再現したゲームやりたいわなあ。すぐ死ぬし変容しちゃうから、ゲームじゃないとヤだけど。

上記の通り話も半ばなので、リソース溜まったら続編を期待したいところ。ホンマはこのシチュエーションで、ゾンビ復活祭やらブルーナイトやらの妙なイヴェントをどんどんやってほしいとこなんだけど、まあ…どうしてもストーリィを進行させるのがメインになりそうなのはしょうがないかな。でも野球回やってくれたので名作認定はされます。自動的に。

●新番組・波よ聞いてくれ。おしゃれ飯屋にヤサグレ気味の残念美人お姉さんに深夜ラジオにひとのこころがない業界人おっさんに情けない大人のお付き合いに、と俺の人生には薄膜一枚ほども関係ない要素のみで構成されたお話で、そのあまりの関係なさ具合と人生投げ切ったスレたダメ人間的なセンスによって逆に興味深く見られているという、そんなアニメ。実際なんかこう、今んとこすげえ面白い。関係なさが進行すると見るモチベ自体が霧消してしまう可能性も大いにあるが、まあそれはそれとして。とにかく主人公のミナレさん役の杉山里穂さんですか、あまり知らない役者さんだけどまあよう喋らされて大変。他のキャストの三倍ほどギャラ貰っていい。あと冒頭のヒグマと闘いながらラジオやるという謎設定の妄想シチュエーションで、どうでもよさに反比例するみたいな作画への傾注具合はとても良いと思った。