日本の司法当局は、周到に計画された組織的犯行には弱い。三億円事件、グリコ森永事件、朝日新聞阪神支局襲撃事件などいずれも未解決だ。つまり我々は意表を突いたout of boxな思考ができない。ゴーンの妻はすでに出国していたのだから、家族がゴーンを奪還し

続きを読む

ドイツ人の助け合い精神　ミュンヘン南部にペルラッハという地区がある。この町では約３０人の市民が、ボランティアとして２０１５年以降ドイツに逃げてきたシリア難民らの援助活動を行っている。リーダーはおらず、各人が自分のネットワークを生かして自発的

続きを読む

2014年に書いた原稿です。ーーーーーーーー放射性廃棄物との戦いを始めたドイツドイツ政府は、高レベル放射性廃棄物の最終貯蔵処分施設の候補地を２０３１年までに選ぶための調査委員会を発足させた。住民の反対運動が起きることを考慮して、原子力の専門家だ

続きを読む

昨日ＢＢＣで見たアフガン戦争のルポは秀逸だった。去年１年間でアフガン市民4000人が死亡し、毎日30人のアフガン兵がタリバンとの戦闘で命を落としている。アフガン政府軍は、自力で国を守る力がない。アフガン政府は、米国トランプ政権がタリバンと停戦交渉

続きを読む

国連環境プログラム（ＵＮＥＰ）という国連の１機関があります。ＵＮＥＰが最近発表した排出量ギャップレポートによると、地球の平均気温の上昇幅を工業化開始以前から２度に抑えるには、来年から2030年までに毎年ＣＯ２排出量を2.7%ずつ減らさなくてはならな

続きを読む

シャルベの誇り　パリ・バンドーム広場の一角に、シャルベというワイシャツ専門店がある。１８３８年にクリストフル・シャルベという仕立て屋が開いた、現存する世界最古のシャツ店である。彼の父親はフランスの皇帝ナポレオンの服を仕立てる職人だった。　シ

続きを読む

　ドイツ連邦統計局によると、２０１８年末の時点で、この国の人口の２５．５％が外国人、もしくはドイツに帰化した外国人だ。ほぼ４人に１人である。こうした市民は、「移民的背景を持つ市民」と呼ばれる。総数は２０８０万人にのぼる。　大都市ではその比率

続きを読む

米国のハーバード大学は、２０１９年５月にメルケルの難民政策を讃えて同氏に名誉博士号を授与した。同大学は、「他人から批判されても自分が正しいと信じることを貫いた」とメルケルの態度を高く評価した。この決定には、米国も含めて世界中に広がるナショナ

続きを読む

日本では年々出生数が減っており、首相が「国難」と形容している。ちなみにドイツでは近年出生数が徐々に増えつつある。一つの理由は、景気の良さ。若者が前途に明るさを見出している。もう一つは手厚い社会保障。ドイツでは無給の育児休暇を３年まで取れる。

続きを読む

ドイツ電事連によると、再生可能エネルギーの発電比率は、2018年の35％から、2019年には40％に増加。ＣＯ２を90年比で44％削減し、「2020年までに40％削減」という目標を1年早く達成した。さらに2019年には、再エネ発電比率（40％）が、褐炭・石炭火力の比率

続きを読む

2019年はいやな年だった。６月には第二次世界大戦後初めて政治家が自宅でネオナチに射殺され、その４か月後には贖罪の日にネオナチがハレでユダヤ人の大量殺人を試みるという事件が起きた。ドイツでは「ハレ後(nach Halle)」という言葉が生まれた。つまりハレ

続きを読む

2003年に発表した記事です。当時はこんなことが可能だった。今では、池に氷が全然張らない。ーーーーーーーーーーーミュンヘン・冬の楽しみ私が住んでいるミュンヘンのアパートから西へ３０分ほど歩くと、ニュンフェンブルグ城と呼ばれる宮殿がある。この宮殿

続きを読む

2007年に発表した記事です。ブレグジット後も欧州の金融ビジネスの中心としてのロンドンの地位は変わらないでしょう。ーーーーーーーーーーー国際金融都市ロンドンの鼓動「ダダダダッ、ダダダダッ」。耳をつんざくような建設工事の騒音と、トラックの群れ。ロ

続きを読む

大西洋をはさんだ右派ポピュリストたちの共振作用。英国でブレグジット推進派が勝つと、数か月後にトランプが勝つ。2016年6月に英国での国民投票で右派ポピュリスト・離脱派が勝った。その5か月後には米国でトランプが勝利。今回も12月に離脱派ジョンソンが選

続きを読む

クリスマスが近づく欧州に第二の難民危機が迫っている。ギリシャの島に多数のシリア難民が漂着。難民キャンプの収容人数は限界に達しており衛生状態が劣悪。ドイツの緑の党のハベック党首は「ギリシャにいる４０００人の戦争孤児をドイツへ引き取るべきだ」と

続きを読む

ドイツ人はホワイト・クリスマスが大好き。しかし今年もまたミュンヘンでは雪のないグリーン・クリスマス。表では、しのつく雨が路面を叩いている。４月のような気候だ。気候変動は、気象庁の観測記録だけではなく、肌で感じられるスケールになりつつある。諏

続きを読む

今頃ロンドンでは、ブレグジット賛成派が祝杯をあげているはずだ。メイ前首相が３回トライして３回失敗した、離脱協定案の下院での可決に、ジョンソンは１回で成功した。選挙で議席の過半数を確保した上で、協定を承認させる。ジョンソンはポピュリストの日和

続きを読む

2015年に書いた記事です。ーーーーーーーーーー言論機関に対するテロの衝撃　年明け早々、欧州は凶悪事件に揺れた。１月７日にフランスの風刺新聞「シャルリー・エブド」の編集部にイスラム過激派のテロリスト２人が侵入して自動小銃を乱射し、編集長やイラス

続きを読む

預金者が銀行に金利を払う時代　ミュンヘンの貯蓄金庫（シュパーカッセ）は、今年秋から普通預金の口座に１０万ユーロ（１２００万円・１ユーロ＝１２０円換算）以上を預ける新規の顧客に対し、「保管料」を請求する方針を明らかにした。いわゆる「マイナス金

続きを読む

2017年に発表した原稿です。ーーーーーーードイツ中規模企業の将来性に陰り？ドイツでは同国経済の大黒柱と知られるミッテルシュタント（中規模企業）の将来性について、「デジタル化や事業の多角化が遅れ、伝統的な業種に固執している」という懸念が出ている

続きを読む

１時間のジョギングと筋力トレーニングの後、イラストと原稿を４本東京の編集部に送りまして、今日の仕事は終わりです。タイムマシンで、３０年前のミュンヘンに戻るとする。今日のミュンヘンの写真を３０年前のドイツ人に見せて「１２月１５日の天気だ」と言

続きを読む

今回の英国の選挙は、ブレグジットに関する二回目の国民投票でもあった。英国にはブレグジット疲れ（Brexithaustion）という言葉がある。２０１６年の国民投票で離脱派が勝利したものの、ブレグジットは政府と議会下院の対立のために、３年以上袋小路に陥って

続きを読む

日本人の多くの若者が欧州の実態を知ったら、移住したくなると思います。毎朝の満員電車や長時間残業がいやだという人は多いと思います。したがって日本の為政者は、欧州の実態を日本人の目に触れないようにすると思います。欧州人の目から見れば、我々日本人

続きを読む

トランプ大統領が少なくとも下院で弾劾されることは、極めて重要だ。この稀代の乱暴者が上院で弾劾されてなくても、少なくとも下院は、この男に鉄槌を下すことになる。ウクライナ問題は、甚だしい権力の乱用。本人には、おそらく権力を乱用したという意識すら

続きを読む

今年ドイツ銀行が発表したアンケート結果によると、回答者の約半数が「自分は定年退職後、貧困層に属するだろう」という不安を抱いていることがわかった。ドイツ政府の財務大臣（SPD)が株式売買に課税し、それを財源とする基礎年金（Grundrente)制度を導入し

続きを読む

2012年に発表した記事です。ドイツでは法律が、全ての会社員に対し、プライベートな時間を確保する権利を保証している。うらやましいことだ。ーーーーーーーー短いドイツの労働時間と効率主義　ドイツで働かれている読者の皆さんの中には、「ドイツ人の労働時

続きを読む

ドイツ政府、株式購入課税で低所得層の年金かさ上げへ2018年の時点で株式を持っているドイツ市民の比率は約16％。これらの市民は中間層から富裕層に属すると見られている。政府は大手企業の株式を購入する市民は暮らしに余裕があると考え、新しい税金を課すこ

続きを読む

1990年代に起きたボスニア内戦での、セルビア系武装勢力による、非セルビア系住民に対する残虐行為、処刑、拷問、強姦、財産没収に関する記録を読む。あまりにもひどい。ボスニアには何人か知人がいるだけに、暗い気持ちになった。20世紀の欧州とは思えないほ

続きを読む

今欧州人の間では、日本への旅行が大ブームだということをご存知ですか。一番多いのがイタリア人。古い歴史と美味しい食事のせいだ。私は今年の夏金沢へ行ったが、イタリア人の多さにびっくりした。私の知り合いのドイツ人の間でも日本へ行く人が増えている。

続きを読む