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2021年07月29日13:16

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メルケル首相の後継者は誰に?

4月28日に書いた記事です。


 メルケル首相は2005年以来16年間にわたってドイツの政治の最高責任者を務めた後、今年秋に政界を引退する。つまり今年は、ドイツだけでなく欧州連合(EU)にとっても大きな節目となる。
 メルケル首相が属するドイツの政権与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は、4月20日にCDUのアルミン・ラシェット党首(60歳)を連邦議会選挙の首相候補に指名した。
 ドイツ北部のアーヘンで生まれたラシェット氏はボン大学などで法学を修めた後、フリージャーナリストとして放送局などで働いた後、アーヘンのキリスト教系の新聞の編集長を務めた。1979年にCDUに入党し、1994年に連邦議会選挙に初当選した。2012年にノルトライン・ヴェストファーレン州のCDU支部長になった後、2017年後に同州政府の首相に就任した。
 ラシェット候補は、CDUの中で保守中道の穏健派に位置する。メルケル首相の路線に比較的忠実な政治家だ。メルケル首相は、2015年にハンガリーで立ち往生していた約100万人のシリア難民に対し、超法規措置でドイツに入国し亡命申請することを許した。この人道的決定は、多くの国民から「ドイツの治安を悪化させた」と厳しく批判された。この時も、ラシェット氏はメルケル首相の難民政策を支持した。
 CDU・CSUでは連邦議会選挙の首相候補選びが難航した。CSU党首でバイエルン政府首相のマルクス・ゼーダ―氏も首相候補に名乗りを上げ、ラシェット氏の間で意見が対立したからだ。ゼーダ―氏は押しが強く、実行力・決断力に富む。ゼーダ―氏は、強硬なコロナ対策を取ることで知られ、メルケル首相同様ロックダウンの緩和に批判的だった。これに対しラシェット氏は、緩和を重視する立場を取り、優柔不断な態度が目立った。
 この結果世論調査では、「誰が首相に適任か」という問いに対して回答者の約45%がゼーダ―氏を挙げたのに対し、ラシェット氏を挙げた回答者の比率は約17%にすぎなかった。このためCDU内部でも、「連邦議会選挙で勝つには、人気が高いゼーダ―氏を候補にするべきではないか」という意見が出始めていた。しかし結局CDU役員会が票決で、ラシェット党首を候補に推すことを決めたため、ゼーダ―氏はメルケル氏の後釜を目指すという野心を捨てた。
 つまりCDU・CSUは「不人気な党首」を候補に擁立したわけだが、緑の党が上昇気流に乗る中、ラシェット氏がメルケル首相の後継者になれるという保証は、まだない。
(文と絵・熊谷 徹 ミュンヘン在住)
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