欧州コロナ通信 87
4月10日・金曜日
我々が目撃しつつあるパンデミックは、100年に1度の深刻な事態である。
前回、地球上で約2500〜5000万人の命を奪ったパンデミックは1918年(スペイン風邪)だった。
Covid-19による犠牲者には60歳以上の男性と基礎疾患を持つ人が多い。
これに対し、スペイン風邪では若者の間に多数の死者が出た。
さらに、妊婦もスペイン風邪のリスク・グループだった。
私のドイツでの知り合いに、104歳のユダヤ人女性がいた。この人の母親は、スペイン風邪の犠牲となった。胎内にいた、ユダヤ人女性の妹も道連れとなった。
マックス・ウェーバーやエゴン・シーレもスペイン風邪の犠牲者だ。
今年はそれから112年。パンデミックはその後も香港風邪、豚インフルエンザなど数回起きているが、スペイン風邪やコロナのように特に獰猛なパンデミックは、約100年周期で起こるのだろうか。
スペイン風邪が歴史書に埋もれ、人類が十分な備えを怠っていた時に、未知の病原体が「攻勢」を開始した。
21世紀に入ってからは、2002年のSARS(1型)、2012年のMERSといったコロナウイルスの局地的な流行があった。
SARS(1型)とMERSの感染者数は、Covid-19よりもはるかに少なかった。しかし死亡率はSARS(1型)が10%、MERSが30%と高かった。特にSARS(1型)は感染力が異常に強かった。
香港のホテルで、廊下ですれ違っただけで感染したケースが報告されている。
今回のCovid-19はコロナウイルスがパンデミックを起こした、史上初のケースだ。
つまり、21世紀はコロナウイルスが前の世紀よりも人類を頻繁に脅かす時代なのかもしれない。
経済グローバル化時代のパンデミックの打撃は、業種によっては、1918年よりも深刻だ。
たとえば旅行業界。今日はパリ、明日はモルジブ、2週間後にパリへ戻るというバカンスの形態が当たり前だった。旅行業界は、このグローバル・バカンス・ブームによって潤ってきたが、パンデミックによって、突然収入がゼロになった。
将来、人類はパンデミックへの備えを今以上に整える必要がある。
ログインしてコメントを確認・投稿する