欧州コロナ通信 86
4月9日・木曜日
4月8日のシャリテ病院のドロステン教授のラジオ解説も興味深かった。
ロベルト・コッホ研究所は、ドイツの通信会社から匿名化したスマホの移動データの提供を受け、分析した。
その結果、3月23日にメルケル政権が外出制限令を施行して以来、その前に比べて市民の移動が約40%減った。
外出制限令の効果が、数字として表れている。
さらに同研究所は、コロナ接触・早期警戒アプリ(Contact tracing application)の導入へ向けて実験を続けている。
その狙いは、無症状感染者の発見にかかる時間を短縮することだ。
現在は症状のある人のPCR検査結果が陽性だと、保健所がその人に直近の濃厚接触について聞き取り調査をする。
そして保健所が濃厚接触者に電話をかけてPCR検査に来るように言わなくてはならない。
しかし現在ドイツでは感染者数が急増しているので、保健所が感染経路を再構築するためのマンパワーが不足している。
しかもドロステン教授によると、ドイツのコロナ感染の46%は症状が出る前に起きている。
無症状の人が、知らない内にウイルスを伝播しているのだ。
つまり症状が出てからPCR検査をするのでは、遅すぎるのだ。
コロナ接触・早期警戒アプリでは、陽性になった人がアプリにその事実を入力すれば、過去にスマホの近くにいた、すべての人のスマホにその事実を自動的に通報し、「検査に行きなさい」と勧める。
感染経路を再構築するプロセスが、自動化され、時間を大幅に短縮できるというわけだ。
もう1つロベルト・コッホ研究所が実験しているのが、スマホのフィットネス・トラッカーのデータの寄付を受けて、匿名化し、ユーザーの平熱と脈拍数の変化をとらえるプロジェクト。
ドイツでは1000万人がフィットネス・トラッカーを使っている。
このデータ・レイクを使えば、ドイツのどの地域で多くの市民の体温や、脈拍が上昇しているかをキャッチすることができる。
つまりどの地域でコロナ感染者のクラスターが生まれているかについて、政府がいち早く知ることができるわけだ。
どちらのプロジェクトも、一刻も早く導入してほしい。
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