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2019年12月07日02:53

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Torino

イタリアの隠れた「首都」トリノ

 アルプス山脈を望む、イタリア北西部の大都市トリノ。車が町に近づくと、「モレ・アントネリアナ」と呼ばれる高さ約170メートルの尖塔が目に飛び込んでくる。1863年に建てられたモレは、トリノのシンボルだ。町の中心部では、美しいアーチを持ったアーケード街や、バロック様式の教会が目立つ。
 古代ローマ帝国の一都市だったトリノは、13世紀以降、ピエモンテ地方の豪族サボイ家の支配下で栄えた。1861年にイタリアが統一された時、最初の首都になったのがトリノである。(トリノが首都だったのは3年間だけで、その後フィレンツェ、ローマが首都となる)
 トリノは首都機能を失ったものの、工業都市として大きく飛躍する。1899年には自動車メーカーのフィアット社がこの町で創業し、1906年には自動車メーカーのランチアが生まれる。フィアットという名前は「トリノ・イタリア自動車製造所」の頭文字をとったものだ。トリノでは、高い技術を持った自動車デザイン事務所が数多く開かれ、ドイツなど外国の自動車メーカーの中には、今でも、この町の工業デザイナーに新製品の設計を依頼する社がある。私の知り合いのイタリア人の父親は、自動車の部品加工に関する技術を持っていたために、トリノからミュンヘンのBMW社へ招かれたほか、日本の自動車デザイナー事務所の招きで、一時我が国でも働いていた。つまりトリノは職人芸が今も生き残っている町なのだ。
 この他、お酒のメーカーであるマルティーニ・ロッシ社や、エスプレッソ用の珈琲豆で知られるラバッツァ社、欧州有数の菓子メーカーであるフェレーロ社など、有名な食品企業もトリノやその周辺で興され、今も活躍している。
 トリノを車で走ると、パリのような大通りがいくつもあることに気づく。一時は首都だった町らしい、堂々たる雰囲気を漂わせている。1911年には、トリノで万国博覧会も開かれている。1975年には、トリノの人口は150万人にまで増えた。(現在の人口は、ユーロ危機や自動車産業の不振などのために、90万人まで減っている)
 日本からミラノやローマ、フィレンツェに行く人は多いが、トリノまで足を延ばす人は少ない。イタリア全体を引っ張る「隠れた首都」にも、是非行ってみてください。


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