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2019年07月12日02:19

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Israeli

去年1月に発表した記事です。
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権威も失敗も恐れないイスラエル人

 多くの日本人は、イスラエルを馴染みのない遠い国だと思っている。だがイスラエルには、我々が学ぶべき点もある。
 先日会ったイスラエルの大学教授S氏がこんなことを言った。「我々イスラエル人は、あらゆる権威を疑う。政府や企業の上司などの言うことを絶対に鵜呑みにせず、疑ってかかり、質問攻めにする。我々は、権威というものに対する畏れを持っていない」。
 イスラエル人たちが、自分の上に立つ者を尊敬するのは、その人物が、その地位にふさわしい能力や見識を持っている時だけだ。彼らの価値観の中には、「年功序列」の原則はない。ドイツや米国以上に、成果が全ての、メリトクラシー(功利主義)が徹底した社会である。
 日本では上司や先輩のやり方を批判して、「こうするべきだ」と意見を言うことなど、もっての他だ。しかし、イスラエルでは、日常茶飯事である。論理的に考えて、他人のやり方が間違っていると思ったら、批判することが許される社会だ。
 ある意味では、民主的な社会である。「出る釘は打たれる」ではなく、「出ない釘は出世しない」のがイスラエルだ。イスラエルでは、他の人と同じことをやっている人は出世せず、他人がやらないことをあえてやってみる人の間に、成功者が生まれる。伝統的な発想から抜け出して、イノベーションを促進する上で、日本とイスラエルのどちらの方法が適しているかは、説明するまでもないだろう。
 私が驚いたのは、イスラエルでは、軍隊のように上意下達の世界でも、この原則が通用することだ。
 イスラエル国防軍の兵士たちは、上官の命令が不合理だと思ったら、「その命令はおかしい」と言って別のやり方を提案する権利を与えられている。兵士たちが命令に服従するのは、彼らが上官の命令を理にかなっていると思う時だけだ。
 イスラエルでは、こうした教育は家庭で始まる。S氏は2人の娘に対し、「君たちは、私が父親だからといって、必ずしも私を尊敬する必要はない。私を尊敬するのは、私の振る舞いを見て、『パパは尊敬するに値する人物だ』と思った時だけで良い」と教えた。そして「失敗を恐れてはならない。失敗をすることは学ぶということであり、むしろ喜ぶべきことだ。ただし同じ失敗を犯してはならない。犯すとしたら、違う失敗を犯すべきだ」と娘たちに説いた。
 「権威や失敗を恐れるな。納得するまで質問しろ」。今後イノベーションが益々重要になる日本にとっても、S氏の言葉には、噛みしめるべき点があると思う。
(熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de

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