mixiユーザー(id:6002189)

2019年06月18日05:08

153 view

Pick pocket

パリ地下鉄・スリ集団との戦い

 5月10日の夕刻、私はパリのある駅で地下鉄(メトロ)7号線を待っていた。するとプラットフォームで男の叫び声がした。その方向を見ると、10歳くらいの黒髪の女の子が4人、早足で私の方へ近づいてきた。みな黒っぽい服を着ており、白人だ。背は低い。一緒にいた日本人の知り合いが大声で「こいつらはスリです。早くこっちへ来て下さい」と大声で叫び、私にこのグループから距離を取るように指示した。この知人が騒いだので、少女たちは別の方向へ歩いて行った。
 私の知人によると、スリたちは常に集団で犯行に及ぶ。1人が乗客に言葉をかけるなどして注意をひいている間に、別の少女が財布や携帯電話を盗む。4人で被害者を取り囲む上、盗み方は手品のように素早いので、身を守ることが難しい。貧しい身なりのジプシーではなく、目立たないようにきちんとした服装をしている。彼らは日本語の「スリ」という言葉を知っているので、大声でスリと叫べば、逃げていくという。
 パリの地下鉄では、事前に録音された「スリが多いので、持ち物にご注意下さい」というアナウンスがフランス語、英語、日本語、ドイツ語などで常に流れている。だが私の知人は先日、この録音アナウンスとは別に、運転手が「ただ今、スリのグループがこの車両に紛れ込んでいますので、ご注意下さい」と特別に車内放送を行い、注意を呼びかけているのを聞いた。運転手は車内の監視カメラを見て、スリ集団に気づいたのだろう。 
 パリの地下鉄の駅や道では、時々英語で声をかけてくる者がいる。それはほぼ100%スリなので、私は何も答えずに逃げることにしている。我々アジア人は目立つので、スリにしばしば狙われる。彼らは「日本や中国からの観光客やビジネスマンは、フランス人よりも多く現金を持っている」と考えている。
 私の知人は、パリなどですでに4回もスリやひったくりの被害にあった。ある記者は、東京からパリの空港に着いて、預けたトランクが出てくるのを待っている間に、パスポート、財布、クレジットカードなどを盗まれた。別の知人は、ローマで強盗まがいのスリにやられた。妊婦がまず彼の腕をつかんで注意をひいている間に、別の女性が彼の背広の内側へ手を突っ込み、ポケットの財布を盗んで逃げた。現金だけでなくクレジットカードやパスポートも奪われた。欧州旅行の際には、細心の注意が必要だ。
(文と絵・熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de


2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する