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2019年05月22日12:44

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2006年に書いた原稿です。
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さらば閉店法

2006年の11月17日、ベルリンっ子たちは、繁華街フリードリヒ・シュトラーセの音楽CDと書籍のデパート、ドゥスマンを見て、びっくりした。この店がドイツで初めて、ウイークデーには午前零時まで営業することにしたからである。金曜日の夜から土曜日にかけては全く閉店せず、客は一晩中買い物をすることができる。
これが可能になったのは、営業時間を規制する「閉店法」が、今年になって大幅に緩和されたからである。これまで開店時間は、連邦政府が決めていたが、今年行われた行政改革で、州政府が独自の判断で営業時間を決めて良いことになった。宵っ張りの市民が多く、経済状態が良くないベルリン市当局(州政府と同じ権限を持つ)は、さっそく閉店法を事実上廃止し、月曜から土曜までは24時間の営業を可能にしたのである。ドイツでは原則として10時間以上の労働は禁止されているので、深夜営業を行うには、雇用を増やす必要がある。つまりベルリン市にとっては、営業時間の自由化には、失業者対策という側面もあるのだ。
閉店法は、店員が休息する権利を守るために、1900年に制定された。商店は月曜日から金曜日までは午後6時半、土曜日は午後2時までに店を閉めなければ、法律違反となる。私は1990年からドイツに住んでいるが、ある店に午後6時29分ごろに到着したら、目の前でシャッターを閉められて憤慨したことがある。
だが最近ドイツの企業では、以前よりも労働時間が長くなる傾向がある。このため、午後6時半に店が閉まったら、多くのサラリーマンは、全く買い物ができない。
このため閉店法は1996年から徐々に緩和され、今ではドイツのほとんどの州で、ウイークデーには午後8時、土曜日も午後6時ごろまで買い物ができる。しかし店員の労働組合と教会は、閉店法の撤廃に反対している。営業時間が長くなると、店員が家族と過ごす時間が減るというのだ。また教会は、現在は原則として禁止されている日曜日の労働が、将来許可されて、礼拝に行く人が減ることを警戒している。このため、カトリック教会が強い影響力を持つ南部のバイエルン州や、バーデン・ヴュルテンベルク州では、閉店法の緩和は、ベルリンほどは進まないだろう。今後ドイツでは、州ごとに店の営業時間に違いが出ることになる。
ドイツには、今も400万人近い失業者がいる。人々に職を与えるためには、閉店法のような旧態依然とした規則は撤廃して、営業時間を商店経営者が自由に決められるようにした方が良いのではないだろうか。規制緩和・万歳!


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