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2019年02月23日05:01

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BREXITと欧州経済 (上)



 今年3月29日には、英国がEUを離脱する。英国はEUの主要国の一つである。BREXITによってEUの人口は約6624万人減り、GDPも約2兆3320億ユーロ(303兆円・1ユーロ=130円換算)減少する。英国のGDPは、28の加盟国の中で、ドイツに次いで2番目に大きかった。EUのGDPは一挙に約18%、人口は約13%減ることになる。
 ドイツの経済学者ハンス・ヴェルナー・ズィン教授は、「英国のGDP規模は、EUでGDPが最も小さい20ヶ国の経済規模に相当する。つまりBREXITはEUの小国20ヶ国がいちどにEUを離脱したのと同じインパクト(衝撃)を持っているのだ」と述べている。
 英国には欧州で株式市場に上場している企業の約20%が本社を置いている。さらに英国は欧州の「知の源泉」としても重要な役割を果たしている。世界のトップ大学と言われる高水準の大学のランキングによると、欧州で最も水準が高い大学10校の内、8校が英国にある。
 EU財政への影響も大きい。EUの2017年度予算は1578億5800万ユーロ(20兆5215億円)。EU予算は、加盟国が納める拠出金によって支えられている。2017年に拠出金額が最も多かったのはドイツで、195億9000万ユーロ(2兆5467億円)だった。英国の支払額は105億7500万ユーロ(1兆3748億円)で、フランス、イタリアに次いで第4位である。
 だが加盟国はEUに「会費」を支払うだけではなく、EUから様々な資金援助つまり「見返り」も受ける。したがってEUへの貢献度を比べる上で最も重要なのは、純拠出金つまり加盟国がEUに払う拠出金と、各国がEUから受け取る補助金などの額の差額である。
英国の2017年の純拠出金は53億4500万ユーロ(6949億円)で、ドイツ(1兆3878億円)に次いで二番目に多かった。
 逆に農業など第一次産業への依存度が大きいポーランドやギリシャは、EUから供与される額の方が、EUに払う額を上回っているので黒字となっている。ギリシャはGDPの2.1%に相当する額、ポーランドはGDPの1.92%にあたる額をEUから受け取っている。
 つまりBREXITによって、EUが使える資金の規模は一挙に約7000億円減る。中長期的には、補助金やインフラ整備資金などを受け取っている東欧諸国、南欧諸国にとっても痛手だ。(続く)
(文・熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de


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