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2018年12月19日04:32

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バルト三国の悩み・人口流出

 90年代初頭にソ連から独立し、2004年にEUに加盟したエストニア、ラトビア、リトアニアは、深刻な問題を抱えている。国連の統計によると、2005年のリトアニアの人口は334万人だった。しかし、2015年には約12%も減って、293万人になった。人口が10年間で、約41万人も減ったのだ。
 この減少傾向は、3ヶ国全てに当てはまる。バルト三国の人口は、2015年までの10年間に約71万人も減っている。元々人口が少ないこれらの小国にとっては、深刻な問題である。
 最大の理由は、英国などほかの欧州諸国へ移住する市民が後を絶たないことだ。たとえば今年前半には、約3万8000人のリトアニア人が国外へ移住したが、この数は前年同期よりも約1万人も多い。移民の約46%は英国に移り住んだ。
 人口流出が続いているのは、これらの国々が2007年から2008年にかけて深刻な経済危機に襲われたことだ。EU加盟後、バルト三国は好景気の時代を経験し、不動産価格が上昇した。多くの人々はローンを組んで、マンションや一軒家を購入した。ところが、これは一種の不動産バブルだった。2008年以降、不動産価格が暴落して、これらの国々は一転して景気後退に襲われた。
 たとえばラトビアの首都リガでは、アパートの1平方メートルあたりの価格は、2004年には300ユーロ(3万9000円・1ユーロ=130円換算)だった。不動産バブルにより、その価格は2008年には約4倍の1200ユーロ(15万6000円)になった。だが2009年には1平方メートルあたりの価格は半分の600ユーロに急落した。あるラトビア人は、「友人が8万ユーロで買ったアパートの価値は、今では2万ユーロになった」と語る。
 リトアニアの失業率は、2005年には14.4%だった。しかしバブル崩壊に伴う不況のために、失業率は2011年には38%まで上昇した。今年5月の時点では、7.3%に下がっている。
 ローンが残ったまま失業した人々は、英国などで就職しようとしているわけだ。OECD・経済協力開発機構によると、2013年のリトアニアの自殺率(人口10万人あたりの自殺者数)は、31.5人と世界最悪。ラトビア(16人)、エストニア(15人)も10位の中に入る。これらの国々が長いトンネルから一刻も早く抜け出すことを祈る。
(熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de
 
 
 





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