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2018年12月11日15:58

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緑の党・大躍進



 バイエルン州議会選挙では与党キリスト教社会同盟(CSU)が大敗したが、その陰で環境政党・緑の党が大躍進した。同党は前回の選挙に比べて得票率を約2倍に増やして17.5%の得票率を記録し、CSUに次ぐ第2党の座に躍り出た。緑の党は、特に大都市部での人気が高かった。たとえば私が住んでいるミュンヘン中部選挙区での緑の党の得票率は、実に42.5%に達している。
 元々ミュンヘンは社会民主党(SPD)が強い地域だった。しかしSPDは大連立政権の一翼を担っており、中道派と左派の間の路線闘争が激しくなっているために、多くの支持者が不満を抱いている。このためSPDを見限ったリベラルな有権者の票が大量に緑の党に流れたのだ。
 さらに前回の選挙では保守政党CSUを選んだ有権者の内、約17万人が緑の党に鞍替えした。その理由は、CSUにはキリスト教に基づく道徳心を重視する人々も多いからだ。彼らは戦火に追われてドイツに逃げざるを得なかった難民については、助けるべきだと考えている。CSUのホルスト・ゼーホーファー党首は、右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に奪われた有権者を引き戻すために、反イスラム色の濃い発言をするなど、AfDの路線を真似た発言を繰り返した。ゼーホーファー党首は、ある時69人の難民を国外退去処分にしたことを発表した記者会見の席上で、「今日はたまたま私の69歳の誕生日。別にそれに合わせて69人を国外に追放したわけではないが・・・・」と発言した。この時カブールへ送還されたアフガニスタン人の内の1人は、現地に着いてから自殺している。この趣味の悪い発言には多くのCSU支持者も憤慨し、得票率の低下につながった。
 緑の党の人気は全国的にも高い。公共放送局ARDが10月11日に発表した支持率調査でも、緑の党の支持率は17%でCDU・CSUに次ぐ第2党だ。
 1980年に創設された緑の党は当初原発廃止と核兵器の全廃などを求める急進的な政党だったが、その後徐々に政策を穏健化させることによって、中間階層に属するドイツ人の間で支持率を高めた。緑の党は1998年から2005年まで社会民主党(SPD)との左派連立政権に参加し、原子力発電の使用停止と再生可能エネルギー拡大に関する最初の法律を施行させた。
 右派ポピュリズムが世界各地で台頭し、社民勢力が後退する中ドイツの緑の党はリベラル勢力にとって唯一の望みの綱である。
(文と絵・熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de





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