mixiユーザー(id:6002189)

2018年12月03日13:57

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歴史リスク

私は、戦争中に被害を与えた国から、歴史認識について批判されて、外交関係、経済関係に悪影響が及び、国益が損なわれるリスクを「歴史リスク」と名づけている。私は歴史リスクを無視して、歴史との対決を怠る国は、他国との歴史認識の違いが原因となって不利益をこうむると考えている。
 ドイツは世界で最も歴史リスクを重視してきた国だ。この国は天然資源に乏しく、人口も比較的少ない。このため、原料を輸入して付加価値の高い製品に加工して輸出することによって、国富を蓄えてきた。日本に似た、「物づくり貿易国家」である。
 ドイツは10ヶ国と国境を接しているが、その大半の国がナチス・ドイツによって侵略された被害国である。ドイツ製品の重要なマーケットである中東欧、ロシアもナチス・ドイツによる深刻な被害を受けた。またドイツの重要な貿易相手国である米国にも、ナチスの迫害を逃れて移住したユダヤ人が多く住んでいる。彼らの中には、親類や友人をガス室で殺され、ドイツに残した財産を失った人も多い。これらの国々は、戦後ドイツの一挙手一投足を厳しく監視している。
 したがって1945年以降の西ドイツが、国際社会に復帰し、貿易によって生き延びるためには、過去と徹底的に対決せざるを得なかった。ドイツはアウシュビッツの建設によって、人類の文明を否定した過去を持つ、いわば「前科者」である。ドイツ人が歴史リスクを軽視して、国内の宗教施設の敷地に、過去を美化する遊就館のような博物館の建設を許していたら、この国は欧米諸国から総スカンを食っているはずだ。いわんや、EUの事実上のリーダーのような立場に就くことは不可能だった。

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