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2018年12月02日23:05

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独政府、高学歴移民を奨励へ


 「移民なしには技能労働者が不足する」。こうした危機感に基づき、ドイツ連邦政府は経済界が必要とする知識を持つ外国人を積極的に受け入れる方向に舵を切る。
 今年8月に明らかになった新移民法案によると、政府は企業の求人について、まずドイツ人失業者から探すという伝統的な原則を廃止する。
 この原則は優先度調査と呼ばれる。たとえばあるドイツ企業が中国との取引額や中国人の顧客の訪問回数が増えているので、ドイツの本社に中国人の営業社員を採用することを決めたとする。だがこれまで外国人の雇用はスムーズに進まなかった。
 その理由は、地元の労働局がドイツ人の求職者の間にこのポストを埋めることができる者がいるかどうか、まず審査しなくてはならなかったからだ。企業側は「この業務をこなすには中国語で交渉でき、中国語の契約書を読むことができることが条件だが、それだけの語学力を持ったドイツ人は見つからなかった」と労働局に説明して、ようやく中国人を雇用できるケースが多かった。
 ドイツの労働局は以前から「企業の求人は、まず求職中のドイツ人で埋めるべきだ」という原則を持っていた。労働局が国内の失業者数を減らすことを任務としていることを考えれば、「外国人よりもまずドイツ人の求職者に職を与える」という発想は当然だ。だが企業が求める高技能の人材は、ドイツ人失業者の間では見つからないことが多い。
 ドイツ政府が優先度調査を廃止すれば、企業はなぜドイツ人ではなく外国人を採用する必要があるかを労働局に説明する必要はなくなるので、雇用プロセスを加速できる。企業にとって外国人の採用が容易になるのだ。
 さらに政府は、本国での職業経験、特定の技能や資格を持つ外国人については、ドイツ企業に採用されることが決まっていなくても、最高6ヶ月まで滞在して職探しをすることを許可する方針だ。ただしドイツ語を話すことができ、6ヶ月間にわたりドイツの社会保障に頼らずに生活できることが条件だ。これまでこの滞在許可は、本国などで大学卒業資格を持つ外国人にのみ許されていた。つまりドイツ政府は「職探し滞在許可」の適用範囲を、大卒者から職業資格を持つ外国人に広げるのだ。
 ドイツは無資格の移民や難民については入国制限を厳しくするが、経済に貢献できる外国人については門戸を開放するのだ。将来労働力不足が予想される日本にとっても、他人事ではない。
(文・熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de
 


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