mixiユーザー(id:6002189)

2018年12月01日15:23

115 view

ミュンヘン・市バスの風景


 私は毎朝、毎夕ミュンヘンの市バスに乗る。この町の利点はバスや市電、地下鉄などの公共交通網が充実していることだ。市民の足として欠かせない存在になっている。
 ところでミュンヘンのバス運転手には、トルコ人、ギリシャ人、ポーランド人など外国人が多い。私はこれらの国々の言葉を全て話せるわけではないのだが、彼らが母国語で話しているのを聞くと、時々わかる単語があるので、出身国が推定できる。市バスは始発が朝5時半、最後のバスが午前零時なので結構大変な仕事だ。給料も安いので、ドイツ人がやりたがらない仕事なのだろう。
 先日乗ったバスの運転手はギリシャ人だった。ある停留所で、堂々とした体格のギリシャ人の中年女性たちが3人バスに乗ってきた。彼らはバスを運転していたギリシャ人の知人だった。口々に、運転手に声をかけている。その内の1人の女性は、バスが走り出してからも運転席の横に立って、運転手と話し続けている。運転手もギリシャ語で話せるのが嬉しいのだろう。バスを運転しながら雑談を続けている。
 日本のバスにはしばしば「走行中に運転手に話しかけないで下さい」という注意書きがある。確かに安全確保という面では、運転手に話しかけない方が良いだろう。雑談をすると運転手の注意が散漫になる可能性もある。だが私は運転手と雑談に興じる女性を見て、ほのぼのとした感じを抱いた。ドイツは規則が多い国だが、日本よりも寛容な点もある。
 たとえばあるバスの停留所の近くには、早朝から開いているパン屋がある。時々運転手は出発時間になるまで、運転席でパンを食べたりコーヒーを飲んだりしている。日本ではあまり見ない光景だ。乗客は、運転手がコーヒーをゆっくり飲んでいても目くじらを立てない。ドイツは日本よりもマイペースで仕事をすることが許される国だ。
 ある時には、トルコ人のバス運転手の子どもと友人たちが運転席の横に立って、父親がバスを運転するのをじっと見つめていた。彼は子どもに自分の仕事ぶりを見せたかったのだろう。日本では見られない、ほほえましい光景だった。
 独り暮らしの年配の女性が、一番前の座席に座って、バス運転手と身の上話をしているのを聞いたこともある。なぜ独り暮らしであることがわかったかというと、その人がドイツ語で話していたからだ。
 どの国へ行っても、町の素顔を知りたいと思ったらまずバスに乗ってみることをお勧めする。
(熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de
 


9 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを投稿する