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2018年03月01日04:58

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ポーランド経済の光と影


 私は今回ワルシャワを約20年ぶりに訪れたのだが、地下鉄セントルム駅周辺では、高層ビルやモダンなマンションが次々に建設されているのが目についた。空港も機能的で美しく、社会主義時代の第三世界のような旧空港と比べると、同じ国とは思えないほどだった。ポーランドの2016年の経済成長率は2.83%。今年の成長率は3.41%に達する見通しだ。2013年には10%を超えていた失業率は、今年夏には約5%まで下がった。ポーランドの建設業界では人手不足が起き始めており、内戦のために経済停滞に苦しむウクライナから労働移民を受け入れている。私が泊まっていたホテルでもウクライナ人が清掃係として働いていた。
 ポーランド西部には、ドイツの自動車メーカーのために部品を製造する下請け企業が多い。日本の自動車メーカーや部品メーカーもこの地域に進出している。ポーランド経済が比較的好調である理由は、政府が14の経済特区を作り、法人税などを緩和したために、この地区に直接投資を行う外国企業が増加したことである。経済特区に属する300の町では、約30万人のポーランド人が雇用されている。
 去年末の時点で、ポーランドの製造業界の時間あたりの労働費用は7.7ユーロ。ドイツの5分の1だ。28のEU加盟国の中で、労働コストが6番目に安い。西欧企業にとってポーランドは、製品の価格競争力を高める上で大きな魅力だ。
 だがポーランドはEUとの対立という大きな問題を抱えている。ポーランド政府は、国民の強い反対にもかかわらず司法改革を強行し、法務大臣に憲法裁判所などの裁判官を自由に任免できる権利を与えた。これに対しEUは、「ポーランド政府は、司法の独立を守るというEUの基本原則に違反した」として、今年7月に調査を開始した。ポーランド政府は報道機関に対する統制を強化している他、EUが要請した難民の受け入れも拒否している。
 ポーランドはインフラ整備などのために、2016年にEUから95億ユーロ(1兆2350億円・1ユーロ=130円換算)の資金援助を得ている。このためポーランドがEUの改善要求を拒否した場合、経済援助を絶たれる可能性もある。ポーランドでも、ハンガリーやスロバキアと同じように反EU勢力が政権を担当しているのだ。「金は欲しいが、三権分立や報道の自由は守れない」では、まるで駄々っ子である。ポーランドとEUの対立で軍配はどちらに上がるだろうか。
(文と絵・熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de

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