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2017年08月02日14:56

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トランプと地球温暖化


恐れられていた事態が現実になった。米国のトランプ大統領が、6月1日に地球温暖化防止に関するパリ協定を離脱する方針を発表したのだ。
2015年12月に195ヶ国が、平均気温の上昇幅を2度未満に抑えるために初めて合意した国際協定の前途に、暗い影が投げかけられた。米国がすでに調印した協定から離脱するには数年かかるとは言え、二酸化炭素(CO2)の排出量が世界で2番目に多い超大国の協定離脱が、地球温暖化との戦いに及ぼす悪影響は、甚大である。
ドイツのメルケル首相は、6月2日の記者会見で「米国の決定は、極めて遺憾だ。我々はパリ協定を必要としている。地球と、神の創造物を守るためにこの協定を守らなくてはならない。米国が離脱しても、我々は地球温暖化との戦いをやめない」とトランプの姿勢を厳しく批判した。
 米国がパリ協定に背を向ける兆候は、5月末にイタリアのタオルミーナで開かれたG7サミットで現れていた。会議の席上トランプだけが「パリ協定は米国経済を不利な立場に追い込む」として履行に反対。他の首脳らとの間で深い亀裂が生じた。ドイツのメルケル首相は、帰国後にミュンヘンで行った演説の中で「我々が他の国の首脳を信頼できる時代は、終わった。そのことをG7サミットで強く感じた。我々欧州人は、これからは(他国に頼らずに)自分の運命を自分の手で切り開かなければならない」と述べ、深い失望感を表した。
欧州委員会のジャン・クロード・ユンケル委員長は、「米国がパリ協定から離脱する方針を表明したら、我々欧州人は『それは許されない』と米国の前に立ちはだかるだろう。地球温暖化は、先進国だけではなく、世界の多くの国々を脅かす深刻な問題である。83ヶ国が、海面の上昇によって水没する危険にさらされている。パリ協定という国際合意は、フェイクニュースではない」と強い口調で米国を批判した。
世界でCO2排出量が最も多い中国がパリ協定に参加したのも、米国のオバマ前大統領の説得の賜物だった。それだけに、米国の離脱は、各国の協定順守の意思を弱める危険がある。ドイツの政治家や学者たちが懸念しているのは、米国の真似をして、パリ協定を離脱する国が現れることだ。
ドイツの有力紙フランクフルター・アルゲマイネのアンドレアス・ミーム記者は、「米国が離脱したら、パリ協定は手足を失った胴体になる」と不吉な予言を行っている。
(文と絵・熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de


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