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2016年12月29日03:01

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「トランプ大統領」の衝撃(上)


ここ数年「世界のタガが外れた」という言葉がよく使われる。大半の人が予想もしていなかったことが起きるからだ。11月9日、米国の大統領選挙でもそのような事態が起きた。投票日直前の世論調査では民主党のヒラリー・クリントン候補の優勢が伝えられていた。だが蓋を開けてみると、全く政治の経験がない不動産王、ドナルド・トランプ氏が当選し、第45代大統領としてホワイトハウスの主になることが決まった。
投票日の数日前には、米国の連邦捜査局(FBI)が、ヒラリー氏を公務メールの取り扱い問題で訴追しないことを明らかにしたため、ヒラリー氏への支持率が上がっていた。テレビ討論でも、ヒラリー氏に軍配が上がっていた。
さらに、トランプ氏が11年前に行った、女性を差別する卑猥な発言を録音したビデオも公開され、多くの人々が、彼の大統領候補としての命運は絶たれたと考えていた。
それだけに、トランプ氏の勝利が世界に与えた衝撃は大きかった。金融市場に「トランプ優勢」の報が伝わると、投資家が円高・ドル安によって、日本の輸出産業に打撃を与えると懸念し、日経平均株価が一時1000円以上下落した。
なぜトランプ氏は勝ったのだろうか。彼は、「ワシントンの政界や大手メディアは庶民の利益を代弁しておらず、腐敗している。私が大統領になったら、政治や社会を根本的に変える」と主張し続けた。トランプ氏が選挙運動の中で使った「Make America great again(米国を再び偉大にしよう)」というスローガンは、1981年に第40代大統領になったロナルド・レーガン氏が使った物。レーガン氏のこの言葉は、米国民の愛国心をくすぐり、彼は熱狂的な支持を集めた。トランプは、レーガンの手法をまねたのだ。
クリントン候補は、リベラルな考えを持つ市民や、黒人やヒスパニックなどの票を集めようとした。一方トランプ氏を最も強く支持したのは、「自分はグローバル化の負け組だ」と感じている白人の単純労働者や低所得層である。ニューヨーク州やカリフォルニア州、マサチューセッツ州など、教育水準が高くグローバル化によって恩恵を得てきた市民が多い地域では、クリントン氏が勝っている。これに対し保守層が多く、多数の市民がグローバル化について不信感を抱いている州では、トランプ氏が圧勝した。(続く)
(熊谷 徹 ミュンヘン在住)ホームページ http://www.tkumagai.de


 



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