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2016年09月13日01:37

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ドイツを襲うイスラム・テロ






メルケル政権はどう対応するのか?




2016年夏のドイツは、バカンス気分が吹き飛んでしまったかのような陰鬱な気分に包まれている。




その原因の一つは、7月24日にドイツで初めてテロ組織「イスラム国(IS)」の信奉者による自爆テロ事件が発生したことだ。政治家だけでなく多くの市民が、「ついにISの自爆テロの波がドイツにも到達した」と感じている。恐れられていたことが、現実化した。




*あわや大惨事




事件が起きたのは、南部バイエルン州・ニュルンベルク近郊のアンスバッハ。24日の夜、この町では夏の音楽祭「アンスバッハ・オープン」が開かれていた。午後10時ごろ、リュックサックを背負った外国人が音楽祭の会場に入ろうとしたが、切符を持っていなかったので、警備員によって入場を阻まれた。




この直後に男は音楽祭会場に近い居酒屋の前で、リュックサックに隠した爆発物に点火。市民15人が重軽傷を負い、犯人は死亡した。もしも犯人が音楽祭の会場に入り込んでいたら、死傷者数は大幅に増えていたはずだ。




対テロ捜査を担当する連邦検察庁やバイエルン州警察の調べによると、犯人はモハメド・Dという27歳のシリア人だった。捜査当局がDの携帯電話を調べたところ、彼が「アラーの名の下にドイツに対するテロ攻撃を行う」と語る映像が残されていた。




さらにDはビデオの中で、ISの最高指導者アブ・バクル・アル・バグダディに忠誠を誓っていた。このことから連邦検察庁は、アンスバッハでの事件について、IS信奉者が多数の市民の殺傷を狙った無差別テロと断定した。




*却下された亡命申請




Dは2年前にドイツに難民として到着し、亡命を申請した。だがDはドイツに入国する前にブルガリアとオーストリアでも亡命を申請していた。ブルガリア政府はすでにDがシリア内戦からの避難民として、「暫定的な保護措置(subsidaerer Schutz)」を認めていた。




EUの亡命申請に関する規定である「ダブリン協定」によると、亡命を希望する外国人は、最初に足を踏み入れたEU加盟国で亡命を申請しなくてはならない。難民が最初に入ったEU加盟国がブルガリアである場合、その難民はブルガリアで亡命を申請しなくてはならない。




このためドイツ政府は、Dのドイツでの亡命申請を却下。Dはブルガリアへ強制送還される予定だったが、医師が「Dは精神的に不安定な状態にある」という診断書を裁判所に提出したため、ブルガリアへの送還が延期されていた。




バイエルン州政府のヨアヒム・ヘルマン内務大臣(キリスト教社会同盟=CSU)は、「イスラム・テロがドイツに到達した。民主主義社会ドイツは、そのことを自覚し、対応しなくてはならない」と語った。




CSUのアンドレアス・ショイアー幹事長は、今回の事件を受けて「もはやドイツに到着する難民の説明を鵜呑みにするわけにはいかない。入国を希望する難民全員を面接し、詳しい身元調査を行うべきだ」と主張している。




*身元調査が行われなかった




バイエルン州では7月18日にも、ヴュルツブルクを走っていた列車の中で、自称アフガン人の男が斧と包丁で乗客に襲いかかり、たまたまドイツを旅行中だった香港からの観光客ら4人に重傷を負わせたばかり。男は列車から逃走し、警察官によって射殺された。犯人は列車の中で「アラー・アクバル(アラーは偉大なり)」と叫んでいた。




また警察は犯人の自室から、ISの旗が描かれたノートを発見した。さらにISは、犯人が「ISの戦士としてドイツで戦いを始める」と宣言しているビデオ映像をネット上に公開した。これらのことから、ヴュルツブルクの事件が政治的な動機に基づくテロ事件であることは確実だ。




犯人は2015年6月にバイエルン州のパッサウからドイツに入国。当時16歳だった。だが入国時に警察や入国管理当局は、男の指紋を取っていなかった。(指紋を採取したのは、ドイツに来る前に通過したハンガリー政府だけだった)




さらに政府は今年3月にこの男にドイツへの滞在許可を与えたが、その際にも詳しい身元調査は行われていなかった。彼はパン職人になるための見習いとして働き、ソーシャルワーカーや周辺の人々も、この男がISの過激思想に感化されていたことを気づかなかった。




ただし彼は事件の直前に「友人がアフガニスタンで死んだ」と語っていたことから、友人の死に対する怒りと絶望が、この男をISに急激に傾斜させた可能性もある。




*ドイツ社会に広がる不安




いずれにせよ、ドイツに去年入国した100万人の難民について、政府や警察が十分な身元調査を行わなかったこと、そして一部の難民が少なくとも2件のテロ事件を起こしたことについて、不安を募らせている。




パリで昨年11月に起きた同時テロの犯人の一部も、難民に紛れ込んでEUに潜入したISの戦闘員だった。また今年6月には、デュッセルドルフで同時テロを計画していたシリア人4人が逮捕されたが、彼らも難民を装ってドイツに潜入していた。




去年9月にメルケル首相が、ハンガリーで立ち往生していたシリア難民らをドイツに受け入れる決断を行った時、CSUを始めとする保守勢力の間では、「テロリストが難民に混ざってドイツに潜入するのを、どのように食い止めるのか」という強い批判の声が出ていた。今や保守派が警告していた事態が、現実の物となった。




メルケル首相は、今なお難民数に上限を設けることに反対しているが、来年の連邦議会選挙へ向けて、保守勢力からメルケルに対する批判が強まる可能性もある。今後もドイツでは無差別テロが起こる可能性がある。メルケルは去年の決定について、説明責任を問われるかもしれない。



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