ニコラウス・ヴァックスマンの1000ページの歴史書「KL」を読む。この本の傑出した点は、これまで知られていなかった多数のエピソードを紹介している点だ。1945年、当時CBSの特派員だったエド・マローは、米軍が解放したブーヘンヴァルト強制収容所からレポートした。「私はここで見たこと、聞いたことをできるかぎり伝えた。だが私がここで見たことの大半について、私は言うべき言葉が見つからなかった」。
ヴァックスマンは書く。「歴史家は、ナチスの犯罪に関する叙述をやめてはならない。もしも歴史家が叙述をやめたら、修正主義者たちが歴史を歪曲し、美化するだろう」。米国やアジア、欧州など世界のあちこちで、政治的に不審な動きが目立つ今日、かみしめるべき言葉だ。
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