mixiユーザー(id:6002189)

2015年01月17日03:51

297 view

徹底した実利主義 


 米国人Fさんは、すでに10年以上シンガポールに住んでおり、パーマネント・レジデント(永住者)の資格を持っている。彼女はシンガポール人ではないのだが、ある役所で公務員として働いている。外国人でも公務員として働ける国というのは、珍しい。それだけではない。

彼女の息子も米国人だが、18歳になった時点でシンガポール軍に徴兵される。兵役期間は2年間に及ぶ。この国では永住資格を持つ外国人の子どもには、兵役義務があるのだ。

これまで色々な国を訪れたが、外国人に兵役義務を課す国は、初めてだ。永住資格を与える代わりに、まるで自国民並みの義務を課す。この国を支配している華僑ならではの、すさまじいまでの実利主義である。シンガポールの人口はわずか530万人。少子化、高齢化も進んでいる。

このため自衛のための兵力を確保するには、永住資格を持つ外国人の手も借りる必要があるのだ。そのためには、パスポートが米国人だろうか日本人だろうが、シンガポールの華僑たちにとってはかまわないのだろう。

 シンガポールは効率主義・成果主義の国でもある。シンガポール国際空港のトイレの出口にタッチスクリーンがあるのに気がついた。客は、このスクリーンのボタンを押して、トイレの清潔度を採点する。客は「とても清潔だ」から「とても不潔だ」まで5段階の評価をできる。

スクリーンには、トイレを掃除している人の顔写真と名前が掲示されている。評価が低い掃除人は、クビにされてしまうのだろう。トイレに掃除人の仕事ぶりについてのアンケートがある国は、初めて見た。トイレが清潔なのは結構だが、なんとも厳しい社会である。

 駐車料金の精算方式も、極めて効率的だ。車には一種の電子式デビッド・カードが装備されていて、駐車場を出る時に自動的に料金が引き落とされる。

車が駐車場の出口に近づくだけで、自動的にバーが開く。駐車する前にパークメーターに小銭を入れて駐車券を買ったり、駐車場から出る時に、機械に小銭を投げ込んだりする必要はない。

 ここで長年働いている外国人の間でも、「シンガポールは住みやすい」という声をよく聞く。(続く)
(文と絵・ミュンヘン在住 熊谷 徹)筆者ホームページ: http://www.tkumagai.de

5 3

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する