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2014年12月28日22:47

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ドイツ・エネルギー転換の裏面


 ドイツでは、2011年の脱原子力政策をめぐり大手電力が損害賠償を求めて政府を訴える裁判が相次いでいる。メディアには「納税者に巨額の負担が生じる可能性がある」という論調が現われ始めた。

 今年10月1日、E・ONは「イザー1号機などの停止命令(原子力モラトリアム)によって経済損害を受けた」として、連邦政府と複数の州政府に対し3億8000万ユーロの賠償金の支払いを求める訴訟を提起した。2ヶ月前には、RWEがビブリス原子炉の停止をめぐって、2億3500万ユーロの損害賠償を求めて政府を訴えたばかり。

 注目するべきことは、この2つの裁判が原子炉の全廃に関する裁判ではなく、2011年3月から3ヶ月間続いた停止・点検措置だけをめぐる訴訟だという点。つまり3ヶ月間の停止だけで、約860億円の損害が出たと主張しているのだ。

 この裁判とは別に、E・ON、RWE、バッテンフォールは、連邦憲法裁判所に「メルケル政権の脱原子力政策によって、財産権を侵害された」として違憲訴訟を起こしている。3社は、違憲判決を勝ち取った上で、政府を相手取り原子力発電所の全廃による経済損害をめぐる損賠訴訟を起こす方針だ。またバッテンフォールは、ワシントンの国際投資紛争調停センターにも提訴。「脱原子力政策によって、ドイツの原子力発電所に行った投資がむだになった」として、10億ユーロを超える賠償金を求めている。つまりE・ONとRWEが今年起こした訴訟は、序曲にすぎないのだ。

 法曹関係者の間には、連邦政府が負けた場合、賠償金額は総額数100億ユーロつまり数兆円にのぼるという見方がある。負担は最終的に納税者の肩にのしかかる。
 これらの訴訟の背景には、大手電力が脱原子力政策だけでなく、新エネ普及による電力卸売価格の低迷で一部の火力発電所の収益性が低下し、業績悪化に苦しんでいるという事情もある。訴訟の裏には、配当下落についての株主の怒りがあるのだ。 
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